【d!】君の事が本当に嫌いでした。

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「なあ、お前好きなもん、なんや。」



手を止めた捏島は、私を見てそう言った。

3回目となると、流石に無言でいられないのか、勉強を一緒にしている相手がつまらなさそうな仏頂面をしていることに苛立ちを覚えたのか。世間話やくだらない話を少しだけするようになった。

とはいえ一言二言、言葉を交わすくらいなものだ。



好きな物。


「食べ物？」


「おん。」


好きな食べ物と言われたとき、普通の人はすぐ出てくるものなのだろうか。私は全く思いつかない優柔不断な人間だから、聞かれる度に回答が違ってしまう。

優柔不断と言うより、馬鹿舌なだけかもしれないけど。なんでも美味しく感じちゃうから



「…強いていえば、杏仁豆腐。」


「…やっぱお前、甘くない方が好きなんか？」


「甘すぎると、胃もたれするから。
控えめの方が好き。」




…程度の会話。

あと、昨日少しだけ怒ってやったからなのか、しつこく同じところを聞いてくるようになった。別に悪口じゃない。感心しているのだ。
1度言っただけで直ぐに悪い所を直せる人というのは少ないものだから。素直なんだろう。

なんというか上から目線になってしまったが本心である。


「ちょお、もっかい。」


トントンとペンで問題用紙を叩く捏島。覗くとさっきも説明した問題が。嫌そうな顔をしてしまうのも仕方ないだろう。
当の本人は悪びれる素振りも見せない。さすがとしか言えない。


「同じ説明4回目なんだけど、」


「お前が聞け言うた。」


「はいはい…。ここは＿＿。」






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