【d!】君の事が本当に嫌いでした。

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「あ、相馬ちゃんやん。

いっつも来んの早いなあ」


翌朝、1番に声をかけてきたのは鬱という女たらしだった。学校一有名な…言うなればクズ。私にも声をかけて来たのだが、その時は丁重にお断りしてあげた。

眠そうな顔で自分の机にバックを置き、欠伸をした。



「おはよ」


眼鏡を拭きながら鬱くんは、思い出したかのようにとある友人のことを話し始めた。にっこにこの表情で。


「シッマから聞いたで。あいつに勉強教えてんねやろ？すごいなあ相馬ちゃん。」



「…不本意だけどね。」


不満を全力で表した顔をすると、吹き出したあとギャハハ！なんて大きな声で笑われた。目には涙が浮かんでいる。そんなに面白かったか。それはよかった。
クラスメイトからの視線は痛かったけどね。



「ひい…相馬ちゃん…そんなおもろい顔出来んねんなあ…！ほんまおもろいわ…あっはは、…！いつも真顔やからギャップすご…！」



「…そんな私、表情少ない？」


昨日のあの男から出てきた「つまらなそうな仏頂面」という言葉が、頭の中で再生される。あぁ腹立たしいな。


「…まあ、俺から見たら少ないで。
せっかく美人やのに、全然笑わへんもん。勿体ない」


女の子は笑った顔が1番やで♡と気持ちの悪い声で言われた。さすが女たらしクズ野郎。普通にしてれば格好いいものを。


「んで？シッマはどうよ。」



「…ひッどいよ、本当に。」



「ふは、せやろなあ。」


友人の成績を思い出したのか、けらけらと笑い出す鬱くん。周りもあの惨状を知っているのに誰も助けなかったのか。
まさか顔に出ていたのか、鬱くんはまた口を開いた。


「俺も数学得意やないからなあ、相馬ちゃん。シッマのこと頼むで。」



「…………………………うん」


ぐ、っと眉間に皺が寄る。


「っふふ、…めちゃくちゃ嫌そう」



「…べつに」






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