【d!】君の事が本当に嫌いでした。

02. ページ2

...




「おい。」



いやな声が聞こえる。
あの馬鹿騒ぎする時とは全く違った、落ち着いた声。

授業終わり。先生はもう職員室に向かい、生徒は次の授業の準備に追われている。扉付近で友達が私を待ってくれている事を横目で見ながら、机から教科書を漁っていた時だった。


「…捏島」


捏島孝行。
私の、嫌いな人。


「さっきの授業プリント。寄越せ」







「…は？」


なんなんだ。写すつもりか？
私の大ッ嫌いな澄まし顔で私を見つめる男を睨みつけてやると、またこいつは口を開いた。


「回収やと。」


「…あぁ。私自分で持ってくから」



いらない、という意思を伝えよう とする。1度手に持ったプリントを机に戻そうとした。どうせ後で先生とならどこかしらですれ違うだろう。

その時に渡そう。


「はあ？ええから寄越せや」


そう思っていると、明らかに不満そうな声を漏らすこいつ。なんだその顔。
手に持っていたプリントを雑に奪われる。



「ちょ…」



「誰が持ってっても同じやろ。」


そう吐き捨て、あの男は踵を返し、私のプリントを持ったまま、教室から出ていってしまった。


「……」





やっぱり、こいつが嫌いだ。










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