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「はぁ…」
ステージがある校庭の方からは楽しそうな生徒達の声が聞こえてきた。
私、何してるんだろう。
拓弥には友達でいたいって言ったくせに。
どうして傷ついてるんだろう。
ズルズルと扉に背中を預けながら座り込む。
体育座りをして自分の膝に顔を埋めていると、じんわり涙が滲んで来た。
「あれ…、」
何泣いてんの?
もう一人の私が、泣いている自分を責める。
別に海に彼女がいたっていなくたって関係ないじゃん。
私達は友達なんだから。
言い聞かせるようにそう考えていると、背中を預けていた扉が突然ガラッと開いた。
「ぅわっ、」
扉が開いた事で背もたれがなくなった私の身体はそのまま後ろへと傾いたけど、倒れる筈の背中に何かが当たってそれは免れた。
「何してんだよ、こんな所で」
頭上から声がして、上を向くとそこにいたのは校庭にいる筈の拓弥だった。
そこで私の背中に当たっているのは拓弥の足だった事に気付く。
「…別に」
「そんな顔してよく別にとか言えるな」
拓弥が教室に入って扉を閉め、体育座りをしている私の隣に胡座をかいて座り込む。
「…拓弥知ってたの?」
「何が」
「彼女出来たって」
「……まぁ」
やっぱり。
あの時問い詰めようとしたユカの言葉を遮ったのも、電話の相手が彼女だって分かってたからなんだ。
「いつから?」
「最近。向こうから告られたって言ってた」
「、そうなんだ」
「…俺がこんな事言うのはアレだけど、」
「…?」
「すぐ別れると思う」
「何で拓弥がそんなこと分かるの?」
「あいつ、いつもそうだから」
「どういう意味?」
「大して好きでもない癖に付き合うから長続きしないんだよ」
"相手の事本気で好きだったかって聞かれると即答出来ない"
夏休みサッカー部の試合を見に行った時に、海が言っていた言葉を思い出す。
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作者名:京 | 作成日時:2019年2月24日 23時