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文化祭当日
野外でのダンス部のパフォーマンスが終わってステージ裏に戻ると、ユカと拓弥が待っていた。
「お疲れ〜！二人共めっちゃかっこよかったよ！」
「ははっ、ありがと」
「サンキュ」
「お前らが踊ってんの初めて見たけど、すげーな」
素直に褒めてくれる拓弥が珍しくてみんなで笑っていると、今度は軽音部の演奏が始まった。
「あ！先輩が出るから見に行かなきゃ！」
そう言って私の手を引くユカが急いでいる理由は、今付き合っている彼氏が軽音部の先輩だから。
ステージ側に移動した私達についてきた海と拓弥が後ろに立つ。
一曲目の演奏が終わってふと後ろを見ると、私達の後ろにいた筈の海がいない事に気付く。
「あれ、海は？」
一緒に並んでいた拓弥に聞くと「知らね」と素っ気なく返された。
どこ行ったんだろう。
何となく胸の奥がザワっとして、辺りを見回す。
すると、遠くに校門の方へ向かう海の後ろ姿が見えた。
「、っおい」
拓弥の声が聞こえた気がしたけど、私の足は自然と海が消えて行った場所へと向かう。
角を曲がって校門の方を見ると、海の姿があった。
その隣には、見覚えのある女子高の制服を着た女子がいる。
「ぁ……、」
少し話した後、海の腕に自分の腕を絡ませた女子を見て、全てを察した。
やっぱり彼女、だったんだ。
いつの間に彼女出来たんだ。
ぼーっとそんな事を考えていた私は、二人が近付いて来ている事に気付かなかった。
「あ、A…、」
「海くん、友達？」
「同じクラスの子」
"同じクラスの子"
そうだ。私は海の只の友達なんだ。
傷付いてる場合じゃない。
「あ…、初めまして！小笠原くんと同じクラスのAAと言います」
「どうも初めまして〜」
スタイルが良くて大人っぽい彼女は、海と並んでいるととても絵になっていた。
見た感じ同い歳ではなさそうなので、一つ上の学年かもしれない。
「ちょっと彼女さんいるなら言ってよ、水臭いな〜」
「あー…はは、わりぃ」
出来るだけ自然に…いつも通りに…と考えながら引き攣る頬を上げて笑う。
頭を掻きながら謝る海が"彼女"という単語を否定しなかった事にまた胸が痛くなった。
「あ、私お邪魔だからユカと拓弥の所戻るね！」
二人に手を振り、ユカ達の所に戻るフリをして一人校舎の方へ向かった。
階段を上がって人気のない教室に入り扉を閉める。
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作者名：京 | 作成日時：2019年2月24日 23時
