恋する群青 (ページ22)

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「そう…なんだ」

「毎回、今度は本気になれるかもって思って付き合うらしいけど、結局直ぐダメになるって自分で言ってた」

拓弥のその言葉を聞いて、少し安心している自分がいた。

酷いな、私。

友達でいられればいいなんて綺麗事言って。

その癖に、心のどこかで海と彼女が上手くいかなくなる事を望んでる。

最低だ。

「泣くなって」

「…泣いてない」

「泣いてんじゃん」

「うるさい」

「…………」

ポロポロと自分の意思とは関係なく流れるそれを一生懸命袖で拭っていると、突然腕を掴まれた。

「…なに」

「…………」

「…拓弥？」

掴まれた腕と拓弥の顔を交互に見ていると、腕ごと強い力で引っ張られた。

「…ぅわっ、」

反射的に床に片手をついて顔を上げると、目の前に拓弥の顔があった。

「っびっくりした…いきなり引っ張らないでよ」

「俺、お前の慰め役になるのは御免だから」

「…は？」

数センチ先にある拓弥の顔を見ながら首を傾げる。

「自分で決めたんだろ？」

「…………」

「だったらメソメソすんな」

そう言ってから私の頭に手を置いてグシャグシャと手を動かす。

拓弥らしいその言葉が私の心を救ってくれた気がした。

「拓弥、」

「なに」

「私、もう泣かないから」

「…………」

「海に彼女が出来たって好きな人が出来たって泣かない」

「…そ」

「うん。ここで拓弥に誓う！」

「ふっ、なんだそれ」

横目で私を見ながら笑っている拓弥につられて私も笑う。

「拓弥、ありがと」

「別に何もしてねーって」

「そんな事ないよ」

「…………」

「拓弥のお陰で自分の気持ち整理出来た」

「…まあ、何かあったら言えよ。話くらいは聞いてやる」

「うん。ありがとう」

いつか、私が海にこの気持ちを伝える時が来るのかな。

今はまだ想像もつかないし言うつもりもないけど、その時は笑っていられたらいいな。

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