リナリア

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祐基くん、大事な用事に間に合ったかな。



夕方、帰り道の途中で急いで走り去った彼の姿を思い浮かべながら、ベッドの上で寛いでいると、テーブルの上に置いてあるスマホから通知音が聞こえた。



メッセージを開くと小笠原くんからで、「今電話大丈夫？」という内容だった。


「大丈夫だよ」と返信すると、5分後くらいに着信音が鳴った。




「もしもし」

『ごめんな、急に』

「ううん、平気だよ。どうしたの？」

『いや、急ぎの用とかではないんだけどさ』

「うん」

『さっきまで祐基と飲んでたんだ』

「あ、そうなんだ」




…て事は、祐基くんの急ぎの用事って小笠原くんとの約束だったのかな。




『2人住んでる所、隣なんだって？』

「そうなんだよ、びっくりしちゃった」

『結構会ったりするの？』

「うーん、たまに仕事帰りに駅で会ったりはするかな」

『ふーん』

「あ、祐基くんとも話してたんだけどね、せっかくだし今度3人で飲みにでも行こうよ」

『……Aさ、』

「うん？」

『祐基の事、下の名前で呼んでんだ』

「え？あ、うん。そうだね」




始めて会った時にそう呼んでと言われたので、そのままの流れで名前で呼ばせてもらっている。





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