あなたの旅路に幸多からんことを ページ44
持久戦に持ち込むつもりだ。
私が加わったことで勇は一層守りに徹し始める。避けられぬ攻撃は頸以外を犠牲にし、再生させる。これを繰り返す。いくら人間離れしているとはいえ、こちらは生身のヒトだ。体力が底をつくのを待っているらしい。
太陽の心配がない空間……勇だからこそできる戦法だった。
……ああ、クソ。
呼吸が苦しい。
もう、お前らの動きなぞ、速くてロクに見えやしない。
どいつもこいつも強くなってる。
歩みを止めた二年が、こんなにも大きい。
痛いんだ、身体中。
髪の一本まで、爪の先まで、ぜんぶ痛くて、辛いんだ。
勇の頸目掛けて、構える。
もう無理だ、と思う。
次の技は出せない。技どころか、刀を握っていられるかも怪しかった。身体中がそう言っていた。
これが最後だ。
型なんて使う余裕はない。
「っ、あ」
痛みごと刀を振り払う。
「あぁあ、あﾞあッ！！」
あ、まずい。
見落としていた。酸欠にチカチカと狭まった視界で、分からなかった。
勇が同じように刀を構えている。
奴の腕力を考えれば、先に落ちるのは、私の首だ。
勇が笑う。
届きませんでしたね、と笑う。
「流石の節穴だな」
──甲高い金属音。
うねる太刀筋であった。特徴的に歪んだ刀の腹が勇の柄を弾き、切っ先で私の剣を突く。勢いづける。
口布の上から、伊黒が笑ったのが見えた。
勇の頸に刃が食い込む。
ポォンと、頸が落ちた。
──割れるような音がして、思い出す。
突き飛ばされたのも、待ってと泣いていたのも、私だ。
……勇が……姉さんの方が足が速いから、逃げてと。警邏の人を呼んできてくださいと言ったのだ。
私は怖くて、お前を置いていきたくなくて、泣いていた。
おまえは、わたしをつきとばして、……
待って！と叫んだ。はやくいけと、おまえは言う。
「……勇。おまえ、私の」
「……言ったでしょ」
勇はほほえむ。
「勇はいつだって姉さんのしあわせを願っておりました」
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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (
レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……！ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……！！長文乱文等失礼しました。応援しております……！ (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………？夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(？)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - もう超大好き！！！となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……！？と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜！！！と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
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