ゝ ページ39
剣士どもが辿り着いたは闇の果て。
夢の最奥。
心の深層にございます。
真っ暗な中に、襖がヌーッと立っておりました。
押しても引いても開かない。けれど人の気配を感じる。確かにここだと思い、それぞれ向こうに声をかけられますと、何やら啜り泣く声がか細く聞こえるばかり。
ハテ、声が聞こえる?
こんなにかすかな音が耳に届くのですから、やけに静かではありませんか。そこで抱き上げていた子どもがいつの間にか泣き止んでいたと気づかれまして。どうしたのとその子を見やります。
子どもは真っ黒な瞳で、じ〜〜ッと剣士を見つめました。
パチ、と瞬き。
コリャ不思議だってなモンで。女の子どもは男の子どもに変わっておりました。また彼らの服も隊服となり、刀を携えているのです。
慌てて飛び退く剣士の前で、少年の体はメキメキと鈍い音を立てて、大きくなってゆきます。骨が歪み、ズルッと垂れた皮膚をピンと張り、髪も伸びて。おや、胸や腰回りに丸みがかかっておる。
ハッとするほど美しい女の姿になってございます。
これは少年の姉の姿でした。
そこからは、もう、切った張ったの大立ち回り!
剣士からすりゃ一対一ってな花形みたいなモンですが、相手をしているコチラからしますと、まったく。たまったモンじゃございません!
なにせこの世界に僕は一人しかつくれませんで、実際には一対九!卑怯だとは思いませんかね。
アア目が回る、目が回るったら!
……何に腹が立つって。この剣士たち、お互いが見えていないでしょうに、なんとマ、いやらしい。連携じみたことをしてくれるではないですか。
我の強いくせして、何を気取っているのやら。
これも、姉の指導の賜物でございましょうかねえ。
涙ぐましいではありませんか。
その姉の力で蹴散らされるってんですから、ハハハ、笑っちまう。いや、いささか意地が悪うござんすね。
無双の剣士が肉体です。これをチョイと拝借させていただいて、酔いそうなほどの力に僕ァもう、堪りませんよ。上弦なんてメじゃありませんねえこりゃ。ウフフ。
過ぎ足る力は人を狂わすと言いますが、ではさて鬼にはどうでしょう。一振にて地を抉るようなこの力は。
ああけれど、その度、頭がクラクラするンです。目の前がワァッと白んで、血管がギリギリ引っ張られて。痛いんです。指先から死んでゆくようで苦しいんです。
とてもとても、余裕なぞ。
本当なら今すぐにでも、やめてしまいたいのにナァ。
ねえ、姉さん。
あなただって、そうだったでしょうに。
747人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ