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開かれたるは五色幔幕 ページ28

 
 
 上弦の陸との戦いが、本格的に始まったようである。
 耳を劈く轟音さえ聞こえないみたいに、Aは刀を鞘に納めた(・・・)


 ──彼女は、とある鬼(・・・・)を探している。

 そのために柱を退いた。そのため、だけに、あんなままごとをしてやっている。
 だってそうしなければ殺せない。
 殺せなくなってしまう(・・・・・・・・・・)のだから、仕方ない。

 本来であれば。無限列車においても戦うつもりなどなかった。どころか相手を殺せもせず逃がすなど冗談にもならない。情報を渡して、呼吸の無駄遣い(・・・・・・・)をしただけだ。
 ……何故、あんなバカなことをしてしまったのだろう。
 自分でも分からない。馬鹿げている、と思うのに、あのとき確かにAは戦わねばならぬと剣を握った。

 煉獄が重症により意識をなくしているのが僥倖である。僥倖、の、はずだ。……四ヶ月も? それは確かに不審であるが、そんなこと何の関係があるという。同じ轍は踏むまい。
 手助け(・・・)程度にとどめたからな、さっさと──


「ああ、やっぱりいらっしゃった」

 踵を返したAの前で、青年が微笑む。

 遊郭に不釣り合いな風貌であった。書生の出で立ちで、黒髪。真面目そうな美貌の青年。彼はカンカン帽をくっと上げて人好きのしそうな笑顔を見せつけた。
 なんでもないような挨拶の仕草だった。

「猗窩座さんが女性を攻撃したと聞いて、そりゃ驚きましたよ。マ相手が貴女なら納得です。ははは、正当防衛てやつですかね」

 Aの手が震える。何度も刀を握り損ねた。鞘と刀身がぶつかり、がちゃがちゃと硬い音がした。
 いざ目の前にして、武器をその手にとれぬのである。

 それは異様な光景だった。

 だって青年はどこまでも親愛にあふれ、旧知というにも足りないような態度であった。
 たった数歩分を挟んだ先。麗しの女剣士は死んだように青い顔をして、譫妄に苛まれるにも足りないような態度であった。

「ところで、列車の彼。下弦の壱。夢を見せてきたでしょう? 種明かしは出来ませんが僕も似たような力を持っていて。だから融通が効くんです。貴女の夢に失敬させていただいたんですが、」
「、」
「あんなモノにお縋りになって」

 一閃。

 青年の首がゴロリと転がる。断末魔もなかった。足元に落ちたカンカン帽だけが、寂しそうな白色をしている。

ゝ→←ゝ



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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