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ページ29

 
 
 ──彼らと日々を過ごす夢。
 誰も彼も酒が飲める歳まで生き延びた、やさしい夢。

 たまたまだ、と白む頭で言い聞かせる。
 ようやく刀を握れた。だから斬った。それだけだ。
 あんなものと関係なんてない。
 戯れ事だ。
 私は、あんな未来を望んでいない。……

(夢、)


 


呼吸を出し渋る(・・・・・・・)のはやめてくださいよ」

 生首が、不満げに言う。


「え、」
「でも流石だなぁ。他の剣客擬きならこうはいかれませんね、お見事ッ。型もなしにこれですから。他の鬼どもの気苦労が知れる……」
「……なんで」
「なんでって……ああ、僕の血鬼術です。本体は別の場所に。驚かせてしまいましたか。失敬失敬」

 許してくれるのを分かって申し訳なさそうにする。
 その顔が、昔とちっとも変わらない(・・・・・・・・・・・)

「ウフフ、そのお顔!お変わりありませんねえ。ああ、お話、戻しましょうか?夢の話ですね、夢の。マァまったく貴女ときたら、ホトホト呆れました。半端者め。昔から(・・・)そうだ」


 ……音が遠い。
 とおい、のに、声だけがハッキリと聞こえる。

 ……わたしは……


「言ってくだされば良かったのに。ううん、そうしたら僕もあの方に良い報告ができたのに。貴女には誰も彼も手を焼いていますから。誇らしいと思っておりますよ」
「……うるさい」
「鬼どもの間では肩身が狭いのなんのと。アイヤ、己の力不足を貴女のせいにしてはいけませんね。()に叱られてしまう」
「黙れ、」
「閑話休題、閑話休題。柱さん方に、マァ随分想い馳せて。見ていられませんですぐお暇しましたよ。妬けるナァ」
「黙れっ」
「あの方々にお話はいたしましたか?僕より可愛がるンだからそういうことも伝えないと。隠し事はナシにしましょ」


姉弟(きょうだい)なんですから!」
「黙れと言っているのが聞こえないのか(いさむ)ッ!」



 マズい、と思ったときにはもう遅い。

 生首は喜色満面に私を見つめる。その切断面から、ズルズルと体が生えてくる。凄まじい再生速度だった。先程とは違い幼い体である。私の記憶にある弟の体(・・・・・・・・・・・)
 私が見捨てた弟(・・・・・・・)の体。



「ええ!姉さん、久しぶりですね」


 肺がいたい。



「サァ仕込みは完了!僕はこれでお暇しますけど、イイんですか?」
「──……」
「音柱。あれ、死んじゃうんじゃあないですかねえ……」

ゝ→←開かれたるは五色幔幕



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アホ毛50%(プロフ) - 玲さん» マジで有難いです……やる気出ます……がんばります……(ToT) (2022年10月7日 20時) (レス) id: a42aa73c2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どうかお身体にはお気をつけてご無理はせずに更新、活動していただけましたらと思います……!ゆっくりのんびり待っております。想像以上に長くなってしまいすみません……!!長文乱文等失礼しました。応援しております……! (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 喉からどこかの鳥の声でも発してしまいそうでした。続編……書いてくださる…………?夢でも見ているようです。この幸せを沼鬼に負けないくらいの気持ちと勢いを持ってギリギリ噛み締めます。(?)(申し訳ありません次で終わります) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう超大好き!!!となっていたというか今も勿論のことなっています書いてくださりありがとうございます。 そうして今もまた読み直していたら、文章が変わっている……!?と気付き更新日時を確認しましてア゜〜〜!!!と大歓喜のあまり(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼致します。何回も何回も読み直し、そのたびこの作品は本当に面白いなあ、と思い、読了すると大きすぎる満足感と言い表し難いほどの感動が一気に込み上げてきまして、その感覚は頻繁に感じるものではなかったものですから、本当にこの作品はもう……(続) (2022年10月7日 16時) (レス) @page45 id: 94771a4103 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アホ毛50% | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月29日 0時

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