08:暗中模索 ページ10
帰りの遠征艇は静かだった。いや、行きも同じ感じだったけど。強いて言うなれば、冬島さんが船酔いで潰れているくらい。
今回の遠征は完璧と言っていいほど、順調に進み未知のトリガーを手に入れることが出来た。その帰り道、暗い遠征艇の中で、私は柄にもなく感傷に浸る。
迅さんはきっと今頃何かしら企んでいるだろう。一年くらい前のことだった気がする。小南が「迅の趣味は暗躍よ」と、言っていたのは。
それを聞いた時は流石に引いた。マジかよって。
『A』と、内部通信で名を呼ばれた。すぐさま私は「何ですか?」と、返す。相手は太刀川さんで、
『迅と何を話した?』
出発前のことを聞かれた。何と、答えるべきなのか。
『太刀川さんには関係のない話です』
『ふーん。お前、俺にそんな事言っていいのか?』
『うわ、人の弱みに漬け込みますか?大の男が。そんなに気になります?』
『弱みは利用すべきだろ。珍しく迅が本部に来てたんだ、気になるだろう』
『…四年前の自分を叱りたい。…私の未来のことで、忠告的なのをされただけですよ』
『なんだ、マジで関係ない話か。模擬戦しねぇのか』
『アンタは私と迅さんを何だと思ってんだけよ、戦闘馬鹿』
きっと、悪態をついていられるのも今の内だろう。迅さんが私のいない間に何もしないわけがない。
面倒だ。
未来視の迅さんは、私の一番の敵だ。勿論、私以外もだろうけど。
厄介だ。
いい加減、私達のことを放っておいて欲しい。
「…面倒くさいなぁ」
物静かな遠征艇の中、私の呟きは誰の耳にも届くことなく、消えて行った。
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ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時