検索窓
今日:18 hit、昨日:12 hit、合計:59,320 hit

20:仮眠室 ページ21

「へ?」


間抜けな声が聞こえた。それが自分の声だと気付くのに数秒掛かった。何故だ。何故、太刀川さんが?


私を斬ったの?


──〈トリオン体活動限界。ベイルアウトします〉


「太刀川さん、どうして」


太刀川さんは何も言わず、弧月を握り締めていた。訳がわからず呆然としていた時、聞いたことのない出来事が発生した。


──〈システムエラー発生、ベイルアウトできません〉


「は?」


光を放ってトリオン体から生身に戻る。混乱する頭の中、身体が後ろに倒れていく。太刀川さんがやっと、動き出し、私の腕を掴んだ。それによって尻餅を付かずにすんだ。


「…トリガーの異常?…なんでこんな時に」


トリオン体だったので気付かなかったが、学校にいた頃より、頭痛が酷なっている。いや、それより先にっ、トリガーが、何で?


太刀川「そんな状態で大丈夫なのか?」

「うるさいっ!…大丈夫です」


私が強がってそう言えば、太刀川さんは掴んでくれていた手を離す。途端に、力が無くなりしゃがみ込んでしまう。俯く。そして、頭痛と眠気が私を襲う。


「…嫌だ、眠るな。…まだ大丈夫」

太刀川「A、交代の時間だ。さっさと立て」

「…はい」


ゆらゆらと立ち上がり、基地に戻ろうとしたところで、視界が揺れた。気付いた時には太刀川さんに俵担ぎされており、気付いたときにはグラスホッパーで、ぴょんぴょんと本部の屋上まで移動していた。その間、恐怖しかなく、嫌だったけど太刀川さんに必死にしがみ付いていた。


「死ねよ、餅頭!」

太刀川「今のお前は使い物にならない。さっさと寝ろ」

「アンタには関係ないだろ」

太刀川「俺はお前の上司だ。関係あるだろ」


とん、肩を押され後ろに体重がかかり、一歩後ずさる。背に何かがあたり、振り向けば簡易的なベッドで、あぁそうかと状況を飲み込めた。

ここは仮眠室だ。私が来たくない場所である。少し暗くて、静かで、眠気が増幅されるような部屋。


「太刀川さんっ、ほんとに、いや、何です」

太刀川「知るかよ」

「一人は嫌」


そういう私など関係なく、仮眠室の扉が閉められた。

21:目が合う→←19:斬り捨て



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
187人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。