【あんスタ】人魚姫【月永レオ】 (ページ3)

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『ねぇレオ』

目の前で作曲に夢中になっているレオに話しかける。もちろん、作曲中のレオからの返事はない。だからいつも私が勝手に話している。

『レオのユニットってどんな人がいるの？』

そんな問いかけに答えは返ってこない。
そう思っていたが

｢面白いやつばっかりだぞ！｣

どうやら聞いていたらしい。珍しいこともあるものだと思いながら私は嬉しそうに笑うレオにつられて笑みをこぼす。

『よかったね』

私は目の前で笑うレオを見つめながらそう言った。
すると、レオは何かを思い出したように

｢これ！｣

ポケットから何回かに折りたたまれた紙を私に差し出した。私はそれを受け取り、紙を丁寧に開くと。

『曲……？』

｢そっ！Aの為に書いたんだっ！｣

歌ってと言われたことは何度もある。けれど曲を貰うのはこれが初めてだった。
私は嬉しさで胸がいっぱいになり

『ありがとう！』

いつもよりも少し大きな声が出た。
けれど

『これはレオが持っててくれないかな？』

｢なんでだ？もしかして気に入らなかった……？｣

不安そうに尋ねるレオに私は首を横に振って否定をする。

『全然！むしろ私、レオの曲大好きだよ』

だからこそ、これはレオに持っていて欲しい。

『ほら、私が持ってると水に濡れちゃうでしょ？』

そう言うとレオは納得した様子だったが、分かりやすいほどに落ち込んでいるのがわかる。
そんなレオに私は罪悪感で押し潰されそうになる。

私が人間だったらどれだけよかったか。
そんなことをずっと考える。人間だったなら君にそんな顔はさせないのに。
人魚なんかになりたくなかった。

あぁ、もう自分が嫌になる。
本当に

『憎いなぁ』

私は水に潜りそう呟いた。
誰にも届かないその言葉は水に溶けていった。