【あんスタ】推しが兄とか知らない【月永レオ】

報告 ページ3

｢A、もし再婚するって言ったらどうする？｣






夜ご飯中、控えめにそう言ってきたのは母だった。その言葉に私は箸を一度止めた。






『……別にいいと思うよ』






そう答え私は箸をまた進める。
再婚、ね。私は母の言葉を頭で復唱する。
別に何も思わない。母さんがそれでいいのなら私は何も言わない。






｢本当に……？｣


『本当だよ』






私はご飯を見つめながらそう言う。すると母の表情は明るくなるのが分かる。こんなにも嬉しそうにするのはいつぶりだろうか。
なんて思いながら楽しそうに話す母の話に耳を傾ける。




うちの親は私が中学一年生の頃に離婚した。原因は忘れてしまった。いや、覚えているけど思い出したくはないや。
そして、私は母の方に着いて行った。




母は初め、何度も私に謝った。
充分な生活をさせてあげられなくて
寂しくて辛い思いを何度もさせて
"ごめんね”
と泣きながら謝った日もあった。きっと私より母の方が辛かっただろうに。




そんな母が今、幸せそうに再婚相手のことを話す。それが私にとって嬉しかった。






『ふぅん、いい人そうだね』


｢そうなの！｣






嬉しそうに頷く母に私も思わず頬が緩んだ。
母と再婚相手の人はどうやら同じ会社の人らしい。
再婚相手の人は優しくていつも母のことを気にかけてくれる人らしい。そんな優しさにお母さんは惚れたというわけだ。






｢だからさ、今度の日曜日空いてる？｣


『え、まぁ空いてるけど』






そう答えると母は少し恥ずかしそうにその再婚相手の人にあって欲しいと言う。
あぁ、そういうことか。
私は心の中で納得しながら返事二つで了承した。

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