【刀剣乱舞】必ずお守りします【一期一振】

サクラ咲く24 ページ26

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泉道寺の屋敷へ戻ったAと一期。




紅茶を入れる彼の横で、座っているAは「うぁぁ…。」と頭を抱えている。





「大丈夫ですか？A殿。」





『無理ぃ…。』






両手で顔を覆った状態、Aの頭の中はグルグルと感情が渦巻く。






『(No.1を決める、あのグランプリで勝負って…。)』





よく考えればハードルが高い。





九十九学院、初等部から大学部までの全生徒が出場資格を持つ。





それはつまり、全校生徒の中でも主従関係に絶対の自信がある2人が出るのだ。





出場には申請が必要で毎年先着20組。
あの後すぐ、両者揃ってグランプリ運営委員に言いに行った。






「受付ました。」と言って渡された札の番号は15。一ヶ月前で、既に10を越える数の主従が申請をしていたのは驚いた。






目立つのはあまり得意ではない性分、出たくない気持ちがあるA。
…だが、ふと思う。







『(優勝しなければ一期とは主従解消。私はブターナさんの希望で退学…。)』









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『───嫌だ。』その言葉が頭の中で反響するように広がっていく。









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「……A殿？」






ハッとして視線を上げると、心配そうな一期の顔が視界に入る。






「顔色が良くない…、お加減でも…。」






熱を計ろうと額へ伸ばす一期の手を、無意識の内に掴む。







そのまま自分の頬へ持っていった一期の手から、体温がジワリと伝わっていく。







「Aど、」





『絶対、優勝する。』





一期の言葉を遮るように口を開いたA。
トク…トク…と、音を大きくしていく自身の鼓動には気付いていない。









『出会った場所は物置部屋。貴方は付喪神だし、立派な淑女のおばあ様に仕えていたから、私が主で正直申し訳ないと思ってる。



ううん。ずっと心のどこかで思ってた。
「私でごめんなさい」って。』





『ダンスや他の授業で、私をフォローしながら貴方は完璧なリードをしてくれる。
その度に私は自分の未熟さを痛感してた。』





「そんなことは…！」





『貴方はそう言う。でも、未熟は本当のこと。』







一期の手に頬を付けながら喋るAは、自嘲にも見える苦笑いを浮かべていた。






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