10話 麗らかな日のお茶会 ページ10
とある麗らかな午後のこと。
Aは何故か図書館で本の整理を手伝わされていた。
―――私、気付いたら大体誰かに仕事を押し付けられてる気がする……。
図書館の司書であるリサは直属ではなくともAより年上で先輩だ。Aの性格を考えれば断れないのも当然だが。
「あら、もう結構終わってるのね。ごめんなさいね、毎回手伝ってくれて。また今度お礼をさせて頂戴」
物思いに耽るAにリサが声をかける。
一応申し訳なくは思っているらしい。
「いえ、今日は仕事も少なくて暇だったので。気にしないでください」
世辞も含まれてはいるが今日暇だったことには嘘は無い。何処ぞの騎兵隊長も最近Aに仕事を投げっぱなしにしすぎてそろそろ噴火が近いことに気付き、珍しく執務室で書類と向き合っている。
「さぁもう片付けも終わるし、一緒にお茶でもしましょう。お礼にいいお菓子でも食べていって」
「!はい、是非!」
真面目なAも何も暇だからと言う理由だけでリサからの仕事を手伝っている訳では無い。
勿論、本来今日リサを手伝う筈だった騎士には後でこってり叱るつもりだが。
仕事を面倒臭がるリサだが、どこぞの不真面目隊長と違いご褒美という名のお茶会が仕事をした後には待っている。
それを楽しみにしているからこそAもこうして、リサの仕事をなんだかんだ言いながらも手伝っていた。
それに仕事終わりにする雑談で軽く愚痴を行ったりと女子トークに花を咲かせるのはAにとって一種のストレス発散にもなる。
「そういえばAはガイアのことどう思ってるのかしら?」
「ごふッ」
あらあらと言いながらナプキンを差し出すリサだが明らかにAの反応を面白がっていた。
Aは急な話題に動揺し意図が掴めずにいた。
「……え?それはどういう意味で聞いてるんですか」
「特に深い意味はないわよ?ただ単純な興味で聞いてるだけよ」
そう言いつつも明らかに邪推しているような顔だ。
「別に、有能なのに仕事を押し付けてくる人としか。………こんなでも尊敬はしてます」
「他には?」
何時ぞやかアンバーに言ったようなことをリサにも告げる。しかし、リサはその答えでは満足しないのか次の言葉を楽しげに待っている。
「……あの人のことを好きだ、とでも言えば満足ですか?」
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作者名:コカゼ ナヅ | 作成日時:2023年7月10日 2時