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2話 どこをとっても笑い話 ページ2

「えぇ…それでまた押し付けられたの?」

赤いリボンを揺らして、偵察騎士アンバーは呆れたようにAを見る。



「……だって、本当に困ってるかもしれないって思うと断れなくて」

「確かに、ガイア先輩なら何か任務があったとしても可笑しくないけどさ〜?」

「出すの遅れたらジン団長の仕事増やしちゃいそうだし……」

しょぼくれた様子でAは、ワインを飲み干す。
断れない性格はAとしても悩みの種なのだ。
なんせAが所属するのは騎兵隊。
直属の上司がガイアだ。口が上手いガイアとその真面目さ故に深く考え、思い詰めるタイプのAとでは相性が最悪と言ってもいい。

「………ていうかさ、話は変わるんだけど。」

ピョコリとリボンを揺らしAの座っている方へとアンバーは体を寄せる。

「何よ。急に」

「アンタってさ、ジンさんとかリサさんのことは敬称とかつけてるのになんでガイア先輩だけ呼び捨てなの?……確かガイア先輩とは割とフラットな感じで話してたよね?」

急な話題の変化にAは一瞬面食らう。
しかし、何だそんなことかと肩を落とす。

「……尊敬はしてるのよ?………いや、でもね!?有能なのは分かってるの。強いし、頭良いし!分かってるけど仕事を押し付けられ、会えば揶揄われ……。あの人に対して畏まると何だか負けた気分になるのよ……!」

アンバーはもう途中から話を聞いていなかった。まぁ、つまりはガイアにさんとかつけるのが彼女のプライド的に許せないとかそんなところだろうと思うことにした。

「あと…、本人に”さん”とか、敬語とかいらないって言われたのよ。初対面の時に……。それを真に受けてしばらくタメ口で話してたら段々それが自然になっちゃって……」

なんともAらしい理由だとアンバーは思った。
恐らくガイアは緊張をほぐすための軽口のつもりだったはずが真に受けて馬鹿正直にその通りにしてしまったということだ。

「あはは!絶対そっちが本当の理由でしょ!」

「……もう!そんなに笑わなくたっていいじゃない!アンバーが聞いてきたから話したのに……!」

「ごめんごめん。でも、それならAらしいかも!」




其れはどういう意味だとAは苦言を呈したかったがアンバーがあまりにも楽しそうなものだから、何も言わないでおくことにした。

3話 特技を活かす→←1話 騎兵隊隊員の彼女



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作者名:コカゼ ナヅ | 作成日時:2023年7月10日 2時

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