プロローグ ページ1
「本当に、大丈夫?」
賑やかな空港の出発ロビー。
柔らかな薄い色の金髪に紫水晶のような瞳をもつ青年は目の前にいる少女に心配そうに尋ねた。
「…うん、大丈夫」
柔らかく微笑んだ少女は美しい声で答える。
「ははは!大丈夫に決まってるさマシュー!何たってヒーローの俺がついてるからね!」
元気に答えたのは先程の青年によく似た、しかしまとう雰囲気の全く違う青年。
「いや、アルには聞いてないんだけど…」
「まぁ細かいことはいいじゃないか!」
青い瞳をもつ青年はしかし、ふっと寂しげに
「でも、また、ここに帰って来てくれよ」
と言った。
「うん!必ずまた来るよ!」
しっかりと頷いた少女の耳に時間を告げるアナウンスが届いた。
「あ…もう行かないと…」
「うん。…あ!そうだ、これ」
慌てた様子でマシューと呼ばれた青年がポケットから箱を取り出した。
「…?これ…」
「今日は来られなかった向こうの奴らからのプレゼントだってさ。まったく、先に言ってくれれば俺達も一緒に作ったのに…」
ふてくされたようにアル、もといアルフレッドが言った。
「そっか…ありがとう!大切にするね!…って言っといて?」
「うん、わかったよ。…っと、もう時間だね」
「あ、本当だ…それじゃあ…」
少しだけ寂しげに微笑んで、少女は歩き出そうとして、呼び止められる。
「A!」
「「俺/僕達は、君の味方だからね!」」
力強く言われた言葉は、何よりも頼もしく少女の胸に響いた。
「うん!ほんとにほんとにありがとう!またね![
最後に最高の笑顔で笑って手を振って、少女は人ごみに消えていった。
「……行っちゃったんだぞ」
残された2人はほんの少しため息をついた。
「仕方ないよ。それが彼女の選んだ道なんだから。…後のことは菊さんに頼んであるし、大丈夫だよ。…Aなら、きっと」
「…そう、だな!」
よーし、とアルフレッドが気合いを入れるように言う。
「とりあえず、元気が出るようにハンバーガーを食べるんだぞ!レッツゴーだ!」
「あわっ、ちょっとまってよアルフレッド!」
一際目立つ青年と、一際目立たない青年が____
ニューヨーク→羽田と書かれた電光掲示板の脇を、駆け抜けていく。
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作者名:かにかま | 作成日時:2017年7月2日 7時