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26. 卑怯者 ページ26

――今日もだ。

最近、夜中に隣の部屋から毎日すすり泣くような声が聞こえてくる。

思っていたより壁が薄かったようで、これからは僕も気を付けないとなんて思ったり。

「あーあ……」

隣の部屋はAちゃんの部屋。

だからきっとこの声は彼女のものだろう。

何気なく真っ暗な天井を仰ぐ。

僕も結構酷いことをしているんだろうなと、自分のことを他人事みたいに考えてみた。

どうして彼女が泣いているのかが分かるからだ。

Aちゃんは僕の一番弟子で、とっくの昔に一人前になれるくらいの知識を教えてきたし、経験も十分にある。

だけど僕が彼女をこの店に縛り付ける理由はなんだろう。

過去に彼女から自立をしたいと申し出がなかった訳じゃない。

むしろ何度かあった。

しかしその度に僕は苦し紛れの理由をこじつけてなんとか自立しないようにしてきた。

――その理由は、なんだ?

もちろん寂しいからというのもある。

けれど今では桃タローくんもうさぎ達もいるんだから、店の中で一人になるという状況は滅多にない。

なのに、どうして?

そうこう考えているうちに、隣から漏れてくる声は聞こえなくなって、Aちゃんが眠ったんだと分かる。

そこで一つ気付いた。

心が寂しがっていることに。

彼女が眠っているだけで寂しいなんて感じるなんて、ようやく謎が解けた。

僕はAちゃんのことが好きなんだ。

そっか。これで彼女をどこかに行かせたくないなんて思っていた理由が埋まった。

彼女を振り向かせてから僕のことしか考えられないようにする。

それを無意識でしていたなんて、こんなに僕は卑怯者だったのか。

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ラーミン。(プロフ) - 手品玉さん» ありがとうございます!期待にお応えできるように努力していきます! (2015年8月10日 17時) (レス) id: 99f7bb834b (このIDを非表示/違反報告)
手品玉(プロフ) - ラーミン。さん» それでも待ってます!頑張ってください! (2015年8月10日 13時) (レス) id: bbcea6223d (このIDを非表示/違反報告)
ラーミン。(プロフ) - 手品玉さん» 返事が遅れてしまい、すみません…。そうですね!それを考えていませんでした!これからはそうします!ですが、ネタがあまり思いつかないので、できるだけ更新しますが、毎日とはいかないかもしれません… (2015年8月10日 0時) (レス) id: 99f7bb834b (このIDを非表示/違反報告)
手品玉(プロフ) - ラーミン。さん» しばらく更新しないんですか...余計なお世話ですが、占ツクのアプリはお使いにならないのですか? (2015年8月4日 10時) (レス) id: bbcea6223d (このIDを非表示/違反報告)
ラーミン。(プロフ) - 手品玉さん» 前作でも今作でもコメントしてくださり、ありがとうございます!そうですか…!ではこれからもそう言っていただけるように頑張っていきます!! (2015年6月6日 23時) (レス) id: 9562c1173e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ラーミン | 作成日時:2015年3月29日 1時

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