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3話 ページ4








電気をつけた後、乱歩と洗面所へ行き手洗いとうがいをした。


何も食べていないだろうし、何か作ってやろうかと思っていると、乱歩がこちらをじーっと見ていることに気がついた。












「なんだ?」



乱歩「いや、その布どうなってるの?」



「これか?」



乱歩「うん、目動いてるし。ちょっと取ってみてよ。」



「ふむ…。どれ、取ってみろ。」











乱歩の身長に合わせしゃがむと、乱歩は一生懸命俺の顔の布を引っ張った。


だが、それは俺の顔をしっかり隠したまま外れない。


それがわかったときの乱歩は面白い顔をしていた。


そんな乱歩の様子を眺めながら、軽くうどんでも作ってやろうと思い、台所へ向かった。


うどんを作っていると、乱歩が隣に立っていた。


興味深そうに俺の料理する様を見ている。











「乱歩、あー。」



乱歩「?あーん。モグモグ」



「硬さ、どうだ?」



乱歩「うん、いい感じ。」



「よし。」











汁も同じように乱歩に味見させ、乱歩の要望通りに作り上げた。


器によそって、箸と水と一緒にちゃぶ台に並べる。


乱歩には座布団を2枚用意してもらった。


その座布団に座り、手を合わせてうどんに手をつけた。











乱歩「美味しい!うどんってこんなに美味しかったんだね!」



「空腹だからだろ。黙って食べろ。」



乱歩「ええー、せっかく褒めてるのにー。」



「行儀が悪い。俺と一緒に暮らすからには、マナーくらいは身につけてもらうぞ。」



乱歩「うげェ…。めんどくさ…。」











心底嫌だとでも言うような顔に、俺はため息をついて箸を置いた。











「確かにめんどくさいだろう。でもな、乱歩。マナーを知っておくと、色んなところで役立つ。」



乱歩「例えば?」



「仕事に就く時だ。職場側も、マナーがなってないやつより、マナーがなっているやつを欲しがる。それに、相手から抱かれる印象が良くなる。」



乱歩「ふーん…。まあ、気をつけるよ。」



「よし。じゃあ、まずは箸の持ち方からだな。」



乱歩「う"っ!」












こうして、俺と乱歩の生活が始まった。


幼子の世話など現役以来だが………まあ、たまには悪くない。





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作者名:七瀬 | 作成日時:2023年3月26日 2時

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