1日目 - ngo※ ページ44
まだ窓の外は暗いのに、私は無意識に柔らかくて暖かいはずのベッドからのっそりと身を起こし
た
外に光がないのならもちろん部屋の中も闇に包まれているはず
いつも閉まっている濃い青色をした厚めのカーテンは、その時なぜだか開いていたような気がする
暖かみのない冷たく輝く月の光が少しだけ窓から差し込んでいたと思う
嫌になるほど聞いていた機械的な音を鳴らす起床時間を知らせる液晶は、コンセントから伸びるコードごとどこかへ消えていた
そんなものは元からそこに存在していないとでもいうように
部屋の扉を開けると更に闇が深まったように感じた
部屋の前の廊下に出たと思ったのに、毎日嫌でも通っている自分のクラスの前にいた
服装や髪型は朝に全身鏡で見たまんま
でもいつのまにかセーラー服を着て、髪は綺麗に結い上げられていた
校則で禁止されているはずのメイクもしていた
ここに私はいるはずなのに、目の前を通り過ぎていく彼は私のことを見向きもせず、友達と会話を続けているように見える
雪の降り積もる季節であるにも関わらず夏服を着て、安いアイスを口に入れる姿は私だけ仲間外れにされているかのような思いを感じさせた
足元まで落ちてきてはすぐにいなくなってしまう雪
室内にいるはずなのにあるものなのかと手を頭に持っていくも髪はただ濡れているだけだった
チラッと見えた窓の外は晴天だ
チャイム音もクラスメート達の話し声も聞こえない
ＣＧで貼り付けたかのような映像がただ流れて見えるようだった
クラスに入ろうと一歩踏み出してみるとそこはもう学校ではなかった
机と抜け殻になったつまらない部屋にいた
夢を、見ていたようだ
見慣れたそこが自分の部屋であると気づくのにかなりの時間を要した
部屋には暖かい光が灯り、窓の外はガヤガヤとお祭りが始まるかのような賑わいだった
声は明るいけど、皆暗い顔をしている
そこにはついさっき学校で見たはずの顔もあった
無理に笑っているように見えた
しばらくすると私の視界には顔がひどくやつれた男性が映った
黒いスーツを身にまとい、綺麗な青色の長い髪には白髪が混ざっている
その男性は冷たくなったベッドに顔を埋め泣き出した
その手には私とその男性が写った写真が握られていた
「景くん？」
やっと見知った顔が目の前に現れたから話しかけたのに、彼にその声は届いていないようだった
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作者名：めろんぱん | 作成日時：2021年12月14日 23時
