【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ11)

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「ねぇAー、何番ー？」

「ん？27だよ！」

「まじー？ちょっと交換してくんね？」

「あー、どこ？」

なんて会話が聞こえてきて焦る

せっかく隣同士かもしれないのに彼女の善意で俺の快適な学校生活を害されるのは嫌すぎる

いいよーと発しそうになった彼女の手を引き、待って、ダメ、絶対ダメと子供のように言う

一瞬静かになった周りの音が慌ただしく騒ぎ始めた

「え、ど、どういうこと？」

そういう彼女の声も聞こえないくらい周りがざわざわとうるさい

「明那ー！静かにさせろ！！」

それこそ担任の役目なんじゃないかと思うけど、確かに騒がしくさせたのは俺だ

話聞いてなんて言っても誰も聞く耳を持たない

だったらもっと衝撃的な言葉を言えば静まるんじゃないかと、その場のノリに流されていた頭は考える

「俺は！Aのことが、好き、、だからまた隣がいい、、、んだけ、ど、、」

衝動的に発した言葉は段々と弱くなり聞こえないほどまで萎んだ

その言葉の効果か教室内は嫌に静まり返っ頼もつかの間、なんだなんだと更にうるさく騒ぎ始めた

向かい側に座っている彼女は俺の声が最後まで聞こえたのか、顔を真っ赤にして黙り込んでいる

「はーい、そこまでー、席替え終了だ！席移動しろー」

助けてくれたのか最後まで言わせないようにしたのか分からないけど、担任がクラス全体に呼びかける

さっきのうるささとは別のガタガタという机の音が声に混ざって聞こえてくる

案の定また隣だった俺らはさっきのことのせいでとても気まずい

ここまで来たなら全て伝えようと思った俺は謎の行動力で彼女手を引き立ち上がる

「先生ちょっとすんません！！！！！」

そう叫んで彼女の手を掴んだまま教室を飛び出す

階段の踊り場まで来てから手を離した

そこには顔を真っ赤に染めたAちゃんがいて、「もう、明那くんのバカ」なんて可愛い声で言ってくる

感情が溢れてこないはずがなく、想いをそのまま伝える

「ずっとずっと大好きです」

真っ赤な顔を更に染めて小さく頷く彼女を抱きしめない男なんているのだろうか