【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ10)

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隣の席 - akn ページ10

1週間前から来てほしくなかったこの日

こういう言い方をすると定期テストとか始業式とかを思い浮かべる人が多いと思うけどそうじゃない

喜ぶ人が多いであろう席替えが今日行われるのだ

俺にとっては一大イベント、席替えをすると先週告知されてからガチャとかじゃんけんとか、とにかく運を使ってしまうものを避けてきた

意味ないとか言わないでくれまじで

うちの担任はくじ引きで席が決まる

まあ先生の目を掻い潜って誰かと交換したりも全然するんだけど

今は廊下側前から2列目
普通なら早く席替えをして窓側後ろに行きたいと友達と騒いでいる頃だけど、今回ばかりは別だ

隣の席はずっとずっと想い続けている女の子だから

毎日が楽しすぎて仕方がないこの席も今日でお別れなのだと思うとすごく寂しい

だから次の席替えも彼女の近くになれるように運を貯めている

「あ、明那くんおはよー！」

「お、おはよ！」

彼女はあまり男と話さない、大人しめの子だ

と思っていたけど実際は友達の前だとはっちゃけてしまうようなタイプの子

声も笑い方も話し方も可愛いからそのギャップがまたいいよね

そんな彼女が隣の席に座ってこちらを向いて口を開いた

「もう後ちょっとでバイバイだね〜。離れたくないなぁ」

「え、は？？え、」

「……？だって後ろはみあちゃんだし左隣はかこちゃんだし…」

「あぁ、そういう」

俺と離れたくないだと思ってびっくりした

両想いには慣れてないから心臓に悪い

告白しようと思ったこともあったけど、フラれた時のことを考えると今の関係のままでいたかったからこの気持ちを言葉に出したことはない

談笑を続けているとHR開始を知らせるチャイム音がなり、椅子をガタガタといわせて周りの席に人が座る

ドアが勢いよく開いたかと思うと体育教師の担任が約40本の割り箸を持って入ってきた

「よーし、席替えするぞー！！！」

朝の挨拶なんて存在しなかったかのように元気よく返事をするクラスメイトに乗っかりながらも、内心はどんよりとした気持ちだった

自分の番が回ってきて割り箸を1本引く

そこには"28"という数字が

後ろの方かぁと思いながらも周りからの何番だった！？という問いかけに答えていく

彼女も引き終わったようで、番号を聞くと27だそうで

待ってこれワンチャンまた隣同士なのでは？と思っていた矢先、隣から声が聞こえた