３１〜紙一重 ページ32
あなたside
貴方「なんとなく分かったけど本当だったとは…ね
シオンはやっぱり幽霊か何か？」
ｼｵﾝ「……」
貴方「黙ってるってことはそうだよね…」
ｼｵﾝ「…う…さい」
貴方「シオンは昔教えてくれたよね
自分に何があったのか、まあ少ししか教えてくれなかったけど
私の情報量舐めないでね
シオン･ガードナー
7月7日に私がいたあの場所で亡くなってる」
ｼｵﾝ「うるさい…！！！」
シオンは顔色を変えて怒った
貴方「色々調べさせてもらったよ…
もしかして…私と自分を比べたの？」
シオンはグッと拳を握って「ッ！そうだよ…」と話し始めた
ｼｵﾝ「僕は君と同じ。でもある意味違うかな
親がすごい人でね、いつも比べられたよ
あの人みたいになりなさい。
兄弟たちは強いのになぜあなただけそうなの。」
ｼｵﾝ「僕は僕であることを否定され続けた
そりゃこうなるよ。何も聞きたくない、だからと言って無愛想なのもアレだろ？
だからいつも笑顔なんだ
笑顔は得意なんだ」
シオンは笑って見せた
でもそれはいつもの笑顔じゃない
私には淋しそうに見えた
ｼｵﾝ「君の話を聞いた時思ったよ
この子はいいな、親に愛され、兄に愛され、仲間に愛されてる
僕とは正反対だ
だからそんな君が泣いているのがわからなかった
君のことが知りたくなった
もしかしたら僕も愛を知れるかもしれない
もしかしたら僕も愛されるかもしれない
もしかしたら、もしかしたら…もしかしたら…」
ｼｵﾝ「笑えるでしょ…？
君を助けたのは僕が興味があったから
でも、君が悲しいと思う度
君が涙を流す度
僕の心は剣を刺されたみたいだった
君の笑った顔は太陽みたいで、ずっと守っておきたくて
ずっと大説にしておきたくて
嗚呼これが愛なんだって
僕も人を愛せるんだって
そう…思えた」
貴方「シオン…」
シオンは淋しそうに笑って手を大きく広げた
ｼｵﾝ「でも、見てくれよ…！
僕を見て…！
僕は幽霊も当然だ
体は冷たいし、痛覚の感覚がない
そんな僕を君は愛せる…？」
シオンの言葉はグサッと私に刺さった
全て、私が思っていたことだ
シオンは私と同じで認めてほしいのではないだろうか
人と違うことを、人を思いやることを
認めてほしいのではないだろうか…
私はラク…兄に強さを認めて欲しかった
シオンは自分と言う存在を認めて欲しかった
私達は紙一重だったんだ
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作者名：叶瀬 | 作成日時：2017年5月28日 12時
