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今日のサボり場所はどこにしようか。
外を適当に歩いていると頭に何かが触れた。真っ赤に色づいた紅葉(もみじ)だ。


周りを見渡すと至る所に落ち葉の山がある。

あぁ、秋ももう終わりに近づいてきた頃か、と俺は頭についた紅葉を手にとって道に捨てた。



秋…あっそういや、いつも行く甘味処で期間限定の団子をやってるって聞いたな。最近行ってなかったし行ってみっかな。てか、期間限定の団子ってなんだよ。青とかだったら旦那への手土産にでもしてやろうか。


そんなくだらない会話を頭の中で繰り広げながらぼーっと江戸の街を歩く。



カラン カラン



風に乗ってそんな音が聞こえた。



音の聞こえた方を向くと、小さめの鳥居が俺を誘い込むようにして建っている。


こんな所に神社なんてあったのか。


今までなぜ気づかなかったのか不思議に思ったが、周りの木や背の高めな草を見て納得する。



吸い込まれるようにして自然と足は鳥居を潜っていた。


木に囲まれていてどこか不思議な感じのする神社だ。



奥まで行くと一人の女が拝殿で静かに手を合わせていた。


さっきの音は本坪鈴の音か…。



石段まで行くと女の顔が見えた。



風になびく長い黒髪は白い着物とは対照的で、白に散りばめられた赤の花は彼女をより一層引き立てていた。


柄にもなく俺は見惚れていた。と思う。



ふと女がつけている青い石がついたブレスレットに目が止まった。

音も立てずに金具から石が落ちる。


その光景がひどくスローモーションで見えた。



あっと思った時には、カン カンッと小さな音を立てて石段を転がり俺の足元で止まる。


それを片手で拾い、参拝を終え石段を降りてきた女に声をかけた。



「これ、落としやした」


『え?あっほんとだ。ありがとう』


柔らかい声とは裏腹に女の表情は変わらない。


「こんなとこに神社があるなんて知りやせんでした。あんたはよくここに?」


『ええ、まぁ』

『…あなたは、仕事中?』


「見廻り兼サボりでさァ」


『そう。じゃあ私はこれで』


そう言って女は鳥居の方へ歩いていく。



そっけない女だ。こっちから話しかけたとはいえ一回も笑わなかったぞあいつ。
女の横顔を思い出す。不思議な女だったな


俺も帰るかと思い鳥居の方を向くと、前の方からあっという声が聞こえた。


なんか言い忘れたことでもあったのかと前を向くと、立ち止まった女は振り返って言った。








『お仕事、頑張って』

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作者名:R.R | 作成日時:2024年2月22日 2時

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