十八本 ページ21
威榧side
凪斗がいない間ベッドでゴロゴロしてたんだけど
段々と喉が渇いてきたから
部屋から出て階段を降りようとしたら
来客の対応をしていた凪斗が駆け上がって来てた
『どうしたの?』
狛「ごめん、なんでもないよ」
狛「早くAの顔が見たかったから走ってきちゃった」
嘘つき…凪斗はなんでもない時にあんな顔はしないよ
それに俺の顔を見たいから走ってくるなんて変だよ…
でも、俺なんかの為って考えると…嬉しいな
『凪斗って本当に俺の顔好きだよね』
それもこんな傷だらけの顔を…
狛「君は本当に…おかしな事を言うんだね」
凪斗は顔色一つ変えずに長い前髪を避けて俺の額に触った
前髪で隠されていたところには
本当に…人には見せられない傷がある
普通の人は額の傷を見ると俺から目を逸らして離れていく
普通はそれが当たり前で、誰も寄ってこないから
俺も平和に暮らせる
でも凪斗は、昔から
ただ心配そうな顔だけを俺に向けて、離れていかなかった
狛「ボクはAが好きなんだよ」
『…凪斗も…嘘つくんだな』
狛「どうして嘘だと思うの?」
『そんな人いないから…俺の事を好きになる人なんか…』
お父さんもお母さんも、俺の事を嫌いだって言ってたし
学校の先生も昔の友達も…俺の事なんて嫌いだって…
凪斗だって俺の事…
嫌いじゃなくても、絶対好きじゃない…
狛「へぇ…」
『…っ.…!』
どうしよう…凪斗に嫌われた…?
嫌だ…凪斗に嫌われたら……俺…
恐怖と焦りと…俺の中に渦巻く何かが
俺の息を浅くさせる
怖い…凪斗の顔が見れない…
狛「…ショックだなぁ」
『..え…?』
狛「ボクがそんな奴らと一緒にされてるって思うとさ」
驚きで顔が上がる
凪斗の顔は、怒りとは言い難いけど
笑ってる訳でもない、泣きそうでもない
昔から一緒にいる俺でも
読み取る事が出来ない感情で溢れていた
…そんな奴らって…
……え…?
もしかして声に…出てた…?
狛「そんなに不安なら、証明してあげるよ」
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コヒ・ミルキー | 作成日時:2023年10月21日 3時