十二本 ページ15
威榧side
俺は薄れる意識の中で、震える手で
凪斗の力のこもる手に触れて、涙を流す顔に触れた
『…凪斗…明日は…一緒にサボろうか…』
狛「え…？」
今まで逃げてきた俺が何を馬鹿な事を言ってるんだろう
ちょっとの恐怖で…家族からも…学校からも…逃げて…
昔からずっと一緒にいたのに俺は守られてばっかりで
俺なんかに大した事は出来ないけど何かしてやらないと
このままじゃ凪斗は壊れる
『凪斗…』
俺の首にかかっていた手から力が抜けた
そして脱力した凪斗が俺の上に倒れ込んできた
狛「ボクは…ボクはなんて事を…ごめんねA…」
凪斗は痣のついた俺の首を撫でながら
俺を抱えて起き上がり、壁に持たれた
さっきまでしくしく泣いてたのが嘘みたいだ…
狛「ボクの為に必死になるA…見てて気持ちよかったよ」
『さっきのお前はどこいったんだよ…』
狛「あはは、あれはちゃんと本心だよ？嘘じゃない」
狛「それに、君は言ったね、ボクは君が誰かの仲良くするのを嫌がったって」
『あぁ…』
それを言ったから凪斗は…
狛「それは間違ってないんだよ」
狛「正確に言えば、昔は嫌がってたんじゃない、今も…君がボク以外の誰かと仲良くするのは…ましてや話すなんて...本当は凄い嫌なんだよ」
狛「でもね、それじゃあAの為にならないな〜と思ったんだ」
狛「.....じゃあ帰ろうかA」
『おう...』
凪斗はまぁ器用に服の汚れを落とし
裏路地から人目を避けて抜け出した
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年10月21日 3時
