もしも…なお話7

中学時代3【黒子】 ページ3

Aさんの声が届く人は…

あの特殊な声がわかったのは
Aさんが居なくなる前
確信に変わったのは居なくなった後でした

虹村先輩の
「先輩の声すら届いて来なくなったな」
と、呟きを聞いた時

赤司君が、
「もしかして、先輩が応援している時に聞こえる声ですか？
遠くにいるのに、なぜか近くで呼ばれているような感覚のする」

「あぁ、特に名前なんかはっきり聞こえるだろう？
何故か先輩の声は聞こえていたのに…
今はこの学校には居ないかの様に聴こえなくなった」

落ち込み寂しそうな顔をする虹村先輩
それを聞いて何かを思い耽る赤司君

「A先輩が居なくなって監督も落胆していた
だから監督にもA先輩が捕まらないって事…

あんな話、聞かなければよかった
A先輩の事が知りたかっただけなのに」

赤司君がこんなに悔しそうな顔をするのは初めて見た
と、緑間君が後で言っていた

それからしばらく探し回ったけど
Aさんを見つけ切る事が出来ずにいて

「Aちん来ないとやる気出ないー
ずっと雰囲気悪いしー」

部活中にそう言って座り込む紫原君

「Aちん来ないかなー
来ると皆やる気出るのにねー」

「あぁ、あの先輩が来ると雰囲気変わってたよな
先輩達のテンションが高くなるってーか」
「俺はAっちを見るとウキウキするんっスよね！」

ニコニコと笑う黄瀬君に対し
眼鏡を指で直しながら

「ウキウキはしないが、試合中にあの声が聞こえるだけで
調子が上がる感じはわかるのだよ
今思うと、あの感覚だけは不思議なのだよ」

　

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