獲物 ページ31
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「藍染さんが私狙うのは予想外だなぁ」
ウルキオラと離れた後、Aは黒崎の元へ向かっていた。藍染との決戦が冬と決まってから、浦原から黒崎一護に力を貸すよう言われていた。もちろん、報酬はある。マジカルミライまりりんポスター全種だが、その報酬も浦原に抱かれて言い難い状況なので貰えるかは判らぬ。
閑話休題。
Aは黒崎の霊圧を探っていると、見知った霊圧を感じた。匂いに釣られた動物かのように、Aはふらりとその霊圧へ踵を返した。
「……やっぱり白哉だ」
霊圧の元には、白哉が立っていた。怪我を負っているのか、左手、左足から血を流している。
どうしてこうなるまで放置すんだろう。あぁ、治療しなきゃ。Aは白哉の所へ寄ろうとしたら、視界が揺れた。
「九条さんっ!」
勇音の声がAの脳に響く。ルキアの治療をしていた勇音はAの身体を見て、血相を変えている。何をそんなに慌ててるのか、Aには理解らなかったが、それよりも早くに身体の力が抜けて倒れそうだった。
「派手にやられているな」
倒れる前に白哉がAの身体を支えた。ぼんやりとした視界の中に映る白哉の目が悲しげに見えたのは気のせいだろう。
「ちょーっとヘマしたけど、大した事じゃない。それより白哉の怪我。治さなきゃ」
グッと白哉の身体を押してAは白哉の左手の治療を始めようとするが、いとも簡単に白哉に横抱きされて出来なかった。白哉は勇音の所にAを下ろして、「Aの治療も頼む」と。
「私より白哉の方して、お願い」
「朽木隊長もしますよ!けど、九条さんも朽木隊長と同じく重傷です!」
Aの左半身は焼け焦げていて、頭からは大量の血が流れていた。普通ならば失血死するところ、Aは平然と生きている。勇音はAの治療を始めようとするが、Aは振り払って白哉の所へ行く。
「白哉」
「何だ」
「助けれてよかったね」
「……あぁ」
Aは白哉の治療を始めた。白哉はそれ以上何も言わずAの治療を受けるだけだった。白哉の治療も終え、Aは黒崎の元へ向かおうとする。
「九条さんその身体じゃ無茶ですよ!」
勇音のいう通り、Aの身体は限界に近かった。これ以上動けば死ぬかもしれないというのにだ。
「今、黒崎くんのとこ面白そうな事してるじゃん。これ逃したら駄目でしょ」
自分の怪我なんて気にもしない。Aの狂気的な笑みに勇音は子兎のように震えた。
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にゃんごろ - めちゃめちゃおもしろいです!!続き待ってます!! (2023年1月8日 10時) (レス) @page35 id: cd4183e0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年11月30日 2時