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ガラリと浦原商店の扉が開く。浦原たちは扉の方へ目を向けると、黒い着物を着たAが立っていた。
「Aサンおかえ、」
挨拶する前にAが浦原の襟元を掴んだ。
「100倒した」
「さすがAサン〜。あれぐらいならお茶の子さいさいッスね」
「褒めても何も出ねぇから」
戦闘が終わったばっかもあってか、獣の如く鋭い眼光が浦原を見る。ゾクリと浦原の背筋に冷や汗が走った。近くにいた鉄裁も殺気に近いものを出すAから咄嗟に浦原から離そうとしたが、浦原が止める。大丈夫だと。
「Aサン。お腹空いたでしょ?先に晩御飯でもしましょう。その後に渡しますから」
伝えるとAはコロッと笑顔を見せる。
「食べる!」
掴んでいた襟元を離してAは店の奥へ。安堵したかのように浦原は息を吐いてから小さく笑った。
「はは。久しぶりの戦いに興奮してるなAサン」
怖い人だと呑気な浦原。そのAにあんな対応する貴方も同じですよと思った鉄裁は呆れてものも言えなかった。
▼▽▼
「好き好き大好きまりりん〜。世界の平和のために今日も戦うんだ〜」
テレビに流れる可愛い歌と共にAは歌う。リズムに乗っているのか。身体は横に揺れている。
「俺、他のやつ見てぇんだけど」
「無理。リアタイはアニオタの鉄則なんだよ。てか、マジミラおもろいからお前も観てろガキ」
大人気ねぇ。ジン太にテレビにがっつくAを呆れて見た。
Aが現世に来てから初めて触れたのはテレビ。そこでアニメという文化に触れた。アニメは素晴らしい。特に女の子が悪役と戦うものは。自分は関係ないのに世界のために戦うなんて健気だ。Aが初めて見た時は感動のあまり涙を流したのを今でも覚えている。
「はぁ〜。まりりん今日も可愛いかった」
アニメも終わり、Aはうっとりとした表情で録画していた先程のアニメを観ようとリモコンを手に取ろうとしたが、ジン太に取られた。
「返せよクソガキ」
「もういいだろ!俺も他のやつ見たいんだよ!」
「あん?私に逆らうのか?」
ギャンギャン騒ぐ二人。騒ぎの声に浦原と鉄裁が駆けつけて止める。これが浦原商店の日常だ。
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にゃんごろ - めちゃめちゃおもしろいです!!続き待ってます!! (2023年1月8日 10時) (レス) @page35 id: cd4183e0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年11月30日 2時