白い庭園 ページ28
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「……一緒に井上助けに行ってくれるのは助かるけどさ……そろそろ離れてくれ」
「離れたら殺す」
「何でだよ!?」
黒崎が叫んだ。
織姫救出に浦原からAも行かせると言われたのはつい先程。今回の戦いは壮絶になるのは黒崎を分かっていたし、仲間は多いに超したことない。
何処かに隠れてたのか。浦原に呼ばれた瞬間Aは現れるては、黒崎の背後にぺたりと隠れる。すると、マシュマロの様に軟かい胸が黒崎の背中に当たっていた。
「俺じゃなくても石田やチャドもいるじゃねぇか!」
「一番近かったのはアンタだったんだよ。てか、これぐらいでギャーギャー喚くな。どうせ、虚圏行くまでは運んでもらうんだから」
よいしょ、とAはキャットタワーを登る猫みたいに黒崎の背中に抱きついた。今度は頭に胸がダイレクトに感触を感じ、「うおっ!?」と間抜けな声が出る。
「嬉しそうッスね黒崎サン」
ニコリと浦原が笑顔で言う。浦原の目が笑っていない。黒崎や近くにいた石田や茶渡も浦原の笑顔に恐怖を感じた
「穴開いたし行くぞ。動け」
気付いていないのか。Aが黒崎の肩を叩いて急かす。何て自由な女だ。
黒崎はAを背負って穴の中に飛んで行った。
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虚圏に着いてから虚夜宮へと向かって走っていたが、一向に辿り着く気配がなかった。黒崎たちは走り疲れて休憩をすると、Aが黒崎の頭を叩いた。
「おい、休憩する暇なんてねぇぞ」
「人に背負わしておいてその態度なんだよ!?」
「何か悪い?」
「あー!悪くねぇよ!」
Aの態度は海よりも大きい。戦闘もしてないのに疲れるなんて馬鹿馬鹿しいものだ。
「なんか……ここに来た時は何も無え死の世界みたいなトコかと思ってたんだけど……意外と小っこい生き物なんかも居るんだな……。虚って人間の魂が主食じゃねえのか?あんな小っこい奴らは何を食って生きてんだろうな……」
「虚圏は霊子濃度濃いからあんな生き物は呼吸するだけで生きれるんだよ。私ら死神……滅却師にとっては最適な場所だな」
「へー便利なモンだな」
「ま。霊子濃度濃い=虚面側も利があるってことだ。てな訳で、お前ら。強い奴に当たったら譲れよ?私が殺すんだから」
ようやくだが、黒崎はAが誰と似ているのか気が付いた。強い奴と戦いという行動原理は剣八と一緒だと。
先に進もうと黒崎たちが立ち上がると悲鳴がした。悲鳴の方に人間の子どもが虚に追われていたのだ。
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にゃんごろ - めちゃめちゃおもしろいです!!続き待ってます!! (2023年1月8日 10時) (レス) @page35 id: cd4183e0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年11月30日 2時