狂 ページ20
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強い霊圧が肌に突き刺す。破面か、とAは上空を凝視した。破面の他に現世に来た他の死神の霊圧も感じる。ならば、彼らに任せても大丈夫だろう。
浦原商店に着くと、恋次と破面が戦っている。見ている限り破面の方が優勢だった。眺めているとウルルが破面に飛んでいく姿を目にした。ウルルの蹴りが破面の顔面に入る。吹き飛んでいく破面に追討ちをかけるようにウルルは攻撃を繰り返す。
「くそがあああっ!!!ガキがっ……!!ナメやがって……!くそっ……くそっ……殺す……殺してやるぞ!」
破面の霊圧が膨れ上がる。
___ 突き砕け『蒼角王子』
破面の叫び声と共にウルルの身体に角が突き刺さった。その瞬間、Aの中に何かが落ちた。ゴトリ。
破面はウルルを空へ投げ捨てる。投げ捨てられたウルルをジン太が受け止めて棍棒で一撃を食らわすが無傷。破面はジン太に攻撃を入れようとした時だ。
「おい」
ぶわりと悪寒が走る。破面は声の方へ振り向く前に片腕が落ちた。
「あああああ!?」
「うるせぇ叫ぶな」
もう片方の腕が斬り落とされる。
何が起きた。破面は痛みに顔を歪ませながらAを見る。Aの細められた視線は獣の如く恐ろしかった。
「破面だから期待したのにクソ雑魚か」
「貴様ァ、何者だ!!」
獅子に追われた子牛は震えている。身体が。本能が。この女から逃げろと叫んでいた。今の今まで強者だと思い込んでいた破面は、女一人によって怯える。
破面の前からAが消え、背後に気配を感じる。咄嗟に振り返るも破面の身体は真っ二つへ割れた。
「知ったとこで死ぬんだから意味ないでしょ」
カチャン。Aは斬魄刀を鞘に収めた。Aに斬られた破面は虚空へ消える。
恋次はAの戦いを只眺める事しか出来なかった。否、戦いに入った所で自分も斬られていた。あれは、無差別に人を殺す殺戮機械と同じだと。
「大丈夫?」
呆然としていた意識もAの声によって戻した。
「あ、あぁ……。助かった」
「いいよ。それより早く治療したら?ボロボロじゃん」
「いや、一護の所に行く」
卍解を解いて恋次は一護の元へと向かった。「黒崎くんによろしくって伝えててー」と呑気なAに振り返りもせずに。
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にゃんごろ - めちゃめちゃおもしろいです!!続き待ってます!! (2023年1月8日 10時) (レス) @page35 id: cd4183e0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年11月30日 2時