いつかのフィルムに (ページ12)

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好きだなんて言わないからページ12

沖縄につくと、ものすごく暖かくて爽やかな海が待っていた。

『おぉ～すげぇ～海めっちゃ綺麗じゃん！』

「うわ、凄い…」

『だけどさ、先飯食おーぜ笑俺腹ペコ笑』

「そうだね、私もお腹空いちゃった笑」

沖縄は平屋が多くて、車椅子のまま入れるお店もたくさんあった。

『マジで沖縄バリアフリーだわ、助かる笑』

それから私たちはご飯を食べて、観光して、ビーチへ出た。

その間もずっと宏はカメラを離さなかった。

『もちろん海とかホテルとかも撮るけどさ、こーゆー沖縄ならではのご飯とか空気とか、伝統を守ってきた人達とか、その方が実際観光する時に大事じゃん？』

宏は昔から自分を持ってる。

軸がブレなくて芯があって、それでいてカッコイイことをサラッと言う。

『何、どうしたの？俺、なんか変な事言った？笑』

「ううん、宏って昔からカッコイイこと、サラッと言うからさ」

『お前こそ可愛いことサラッと言ってたけどな笑』

ほら。

この人に私は一生勝てない。

『俺さ、この身体になって後悔してなかったし、むしろいい仕事できるから良かったって思ってるけど、』

カメラを膝において彼は言った。

『Aにまた会って、初めて少し後悔した。なんでこうなったんだーって笑』

「宏……」

『でも、もうお前のこと好きだなんて言わないから安心して笑』

そういう彼の表情が切なく見えるのは、私の錯覚？自分勝手？なのかな。

『3日間、いやあと2日？短いけどよろしく笑』

夕日に照らされた彼の横顔が、とても美しくて、愛おしかった。