【 躑躅森盧笙 】 あ が り 症 の 担 任 に 【 男主 】

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『さむ』

「はいカイロ」

『あああああったかああ…』

学校までいつも通り送ってもらった。
俺が車から出ようとすると、母さんはカイロを手渡してくれた

ポケットの中で温められたカイロ
温かいと言うより熱くなっとったな

俺は母さんに手を振ってそのまま校舎の方に。

「さむ"…」

『先生おはよ！鼻真っ赤でトナカイみたいになってんで！』

「寒いねん…」

『んふふ、俺ええの持ってんねん！』

「ええのって…なんや？」

『冬の必需品、カイロやで…！』

「…ええなぁ」

『2個持ってるからひとつあげる！』

そう言って盧笙先生に渡した。
手に取ったらめっちゃ子供みたいな笑顔見せてくんねん。「あったか〜」みたいな

この顔めっちゃ好きやわ、かわええ

＿＿＿＿＿＿


＿＿＿

持久走やって。持久走があるんやって
走りたいけど、激しい運動だけはあかんって言われたから無理らしい。
保健室の先生からも止められた
クラスの皆からも止められた

残念やったなぁ…って心配してくれたんは盧笙先生。

『…練習してるなぁ…』

教室から見える皆の練習
白い息を吐いて辛そうに走ってる

頑張って〜なんて心の中で応援しながら皆を眺めていた

「…A」

後ろから声がした
そこには、持久走が嫌でサボってたクラスのムードメーカーの子。

『おったんや』

「Aの事知らへんの先生だけなんやろ？なんで言わへんの？」

『…』

何かと思えばそんな事。

『決まってるやん、俺先生に悲しい顔させたくないねん』

「…けど言わな気づいてもらえへんで」

『気付いてもらわへんでええねん。俺盧笙先生の笑顔だけ見たいんやから。
悲しい顔とか全く見たくない』

「…もし、Aがそれ隠してて逆に悲しませたとしたら？」

『それは先生に謝るわ』

なんて淡々と俺は質問に返していく
なんで当たり前の事を返さなあかんのかなぁって偶に思う

「…好きな相手には全部言わなあかんのちゃう？」

『好きな相手やから嘘はつかなあかん時もあるし、秘密にしとかなあかん事もあんねん』

俺がそう返せば「そっか」なんて納得してくれたよう。
そして俺の隣に座り、窓の外を2人で眺めた

ここからの景色もあと半年くらいで見納めかなぁ

ちゃんと目に焼き付けなあかんな

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