大好きなんスもん【黄瀬涼太】

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日曜日。
ついにやってきてしまった日曜日。

Aっちが合コンという名の、狼の集まりに参加してしまう日曜日。


のんびり過ごすつもりだったが、家にいてもそわそわしてしまって落ち着かないので、帽子と伊達眼鏡をかけて気晴らしに外へ出た。

今頃彼女は合コン中か、なんて考えながら街をぶらぶらと歩く。


そういえば、いつやるかは聞いたけど、どこでやるかは聞いていなかった。
まぁ教えられていたら傷つくことを承知の上で見に行っていただろうから聞かなくて正解かな、なんて思っていたり。





「キセリョ……だよね？」


「……そっスよ」

「やっぱり！」




多分俺のファンの子。
完全プライベート中でも、話しかけられることが素直に嬉しい時もあるが、生憎今はAっちのことで頭がいっぱい。


そんなことを気にせず話しかけてくるこの女に少しイラッとしつつ、身につけた神対応で軽くあしらう。




「じゃあこれからも応援よろしくっス！」

「待って待って！今一人なの？」

「いやぁ、ちょっと今は……」




話を上手く切り上げて会話を終わらせようとするが、引き止められる。

めんどくさい女に捕まった。




「すんません、今プライベート中なんで……」

「じゃあ一人なんだ！私も一人なの！」

「いやだから……」

「私と遊ぼうよ！」





この女、話を聞け！！！！！

俺の都合を無視して話を進める目の前の女に軽く殺意が湧くが、無理に退かすわけにもいかないので、どうしようかと頭を捻る。





「……ねぇ、私と遊んでくれないの？」

「俺今忙しいんで……」


「……さっきからそればっかり」





俺の服の裾をきゅっと握り、「お願い」と媚びが含まれた声で甘えるように上目遣いをするこの女。

それやってりゃ、男が皆ころっと落ちると思ってんスかねぇ？残念ながら、俺がときめくのはAっちに対してだけっスよ。



考えていたら無性に彼女に会いたくなってきた。

今、何してるのかな。まだ合コンしてるのかな。食べすぎてないかな。



他の男に、変なことされてないかな。


目の前の女が何か俺に言っているが、全く聞こえない。



あー、会いたい。

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