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「跡になってる……」




私を日陰にあるベンチの上に優しく下ろすと、その隣に座って私の手をぎゅっと握り心配そうな声を出した。


そっと、首に彼の長い指が触れる。




「本当に、大丈夫なんスか」

『大丈夫だってば』




疑問符ついてないよ。

ずっと落ち込んでいる黄瀬を見るのは珍しくて、つい頭を撫でてしまう。
少し遠くを見ると森山先輩と早川先輩が海の中で水を掛け合って遊んでいるのが見えた。


カップルか。




「どっか触られたりしなかったっスか」

『……触られたって言ったら?』

「そりゃ消毒……っていうかアイツらだけ触るのズルいんで俺も触るっス」

『自分に正直だな』




不貞腐れてはいるが、どこまでも欲望に忠実な黄瀬。
簡単に言えば「俺にも触らせろ」と言っているようなものだ。




『腰』

「え?」


『……触らないの?』

「〜〜っ!!?!」




そんな彼に頼んでしまう私も、どこかおかしいんだと思う。


自分で触らせろと言いながら、いざ触れるとなると恥ずかしがる黄瀬。
そんな彼の表情を見つめながら首に手を回し体を伸ばして彼に抱きつくと、彼は驚きながらも受け入れてくれたようでぎこちなく私の腰に手を回した。




「……あの、Aっち?」

『なぁに?』


「めちゃめちゃ恥ずかしいんスけど………」

『知ってる』




黄瀬の心臓がバクバクと早く鳴っているのが聞こえてくる。

ついでに、私の心臓も。


当たり前だ。黄瀬が一方的に抱きついてくることはあっても抱き合ったりは普段ならしない。
しかも今は水着同士、ほとんど裸な状態なのだから。




「っほか!他のところはないんスか!!?」

『んー………』




今の状態がよっぽど恥ずかしいのか、顔を真っ赤にさせて何かに耐える黄瀬。

あの肘鉄男に触られた時は気持ち悪くて吐き気がしたけれど、何故か黄瀬に触られるのは心地良く思ってしまう。



……これは海でテンションが上がって浮かれてるせいってことにしとくからね。





『おっぱ』

「わああああ!!!!!」




黄瀬は私が悪戯で彼の耳元で言おうとした危ない単語にいち早く察知し、抱き合った身体を引き剥がす。
あら残念。


しばらく休むと復活して、皆とめいいっぱい海で遊んだ。



波乱だらけの合宿、意外と楽しかったな。

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 海常高校   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 文スト黒バス東リベ推しさん» コメントありがとうございます!13の続きで帝光中学校時代の話なので、赤司ですね。 (2022年6月29日 8時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
文スト黒バス東リベ推し - 14の黄瀬が赤司っちに言っておくからみたいな台詞あるけど赤司じゃなくて笠松とかじゃないですか? (2022年6月27日 17時) (レス) @page16 id: 89b4ed43fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月18日 20時

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