91話 ページ7
私は知らない。
コニーの最期を見ていない。
___一体それのどこが不幸だと言うの?
この人の言っている事がわからない。
『どうして
ピシリと笑みが固まる。
シスターの話によると出荷日に選択を迫られる。
これを今言った事に当てはめれば
そしてイザベラは生きることを選んだ。
それが「良い」と判断したから。
『知らずに死ぬのは幸せ…っていうのは一理あると思う
でもそれ私達に当てはまらないよ。貴方が知ったみたいに、私達も知ってしまったから』
一度知ってしまえば元に戻らない。
割れた器は二度と役割を果たさない。
「………本当、貴女だけが違うわ。一体何が貴女を形造っているの?」
困っている、とでも言いたげに片頬に手を当てるその人。
どうやら私は扱いづらいらしい。
(…やっぱり下見ごときで出荷しない)
捕まえたければこんな説得必要ない。
そしてそれをノーマンもエマも分かってる。
なら私のすべきことは。
『行ってノーマン!』
ノーマンが柵に向かって走り出す。
同時に私とエマも駆け出した。
エマがイザベラを拘束するように抱きつき、私はぐっとコンパスに手を伸ばす。
時間を稼げば良い。少しでも長く。
1人じゃ無理でも、2人なら___
(!!!)
瞬間見えた、不敵な笑み。
まずいと思った刹那、ゴッと頭に鈍い痛みが走った。
『いっ…!』
地面に叩きつけられて体が痛い。
____バキッッッ
(……は、)
それから聞こえた、何か折れてはいけない硬いモノが折れたような、そんなおぞましい音。
「ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ!!!!」
『エマ!!!ッが、…!!!』
聞いたこともないような絶叫に、駆け寄ろうとした瞬間首が酷く圧迫された。
かハっ、と肺から空気が漏れる。
「Shhhh...大丈夫、痛くない痛くない」
『あ"…ッ、、ぐ…』
「あぁ私の可愛い子ども達。だから諦めてと言ったのよ」
キインと甲高い耳鳴り。
視界がぼやけ、白んだり黒ずんだりして目がチカチカした。
「…は特別……わ…てた最上…料な…」
「だ…こそ守…ねば……。…明日……祝…てね」
「本部…通達……た」
なに、なんのはなし…?
「おめでとうA。あなたの出荷が決まったわ」
意識が落ちる直前、その言葉と、目を見開いたレイの姿だけが鮮明に焼き付いた。
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凛香奈 - 続編楽しみにしてます! (2021年1月22日 19時) (レス) id: 11436a7db0 (このIDを非表示/違反報告)
ぱふぇ - 最高。絵上手すぎです!面白すぎてハゲそう(真顔。更新楽しみにしてます! (2020年12月19日 13時) (レス) id: 00337bf9fd (このIDを非表示/違反報告)
トエル・タウ - ノーマンと夢主ちゃんの関係、ぼたぼた涙が出てきました…。どうか幸せになってくれ…。 (2020年7月24日 14時) (レス) id: fc7aaf8032 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツ(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 17時) (レス) id: 0aa8d61485 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - すっごーーく面白いです!!約ネバ好きのレイ推しなのですっごく嬉しいです!Rain (2020年6月16日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レレ | 作成日時:2019年8月29日 16時