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そして数日後
『潤!お疲れ様です!ハッピーバレンタインですっ!どうぞ!お口に合うか分かりませんが』
そう言って、ドアを開けた瞬間、可愛らしいリボンがついた箱を、俺に差し出してくる。
「え、もしかしてチョコ?わぁ、くれると思わなかった。しかも手作り?」
半分期待して、半分諦めてたからすげー嬉しくて
カウンターから出て、Aちゃんに駆け寄った。
『うん。ケーキ作るの好きだから、頑張って作ってみた!見てみて!可愛いのっ!』
力作なのか、そう言いながら自分で開けちゃうところが可愛くて微笑ましい(笑)
じゃーん!って出された箱の中には
「ガトーショコラだ!」
『好きでしょ?チョコケーキ』
小さくて丸い1人用のガトーショコラで、粉砂糖がハートになってかかってる。
いちごもハートに切ったのが乗ってて、すごく可愛らしい。
「うん、好き!わ、可愛いー!」
『良かったぁ。後で食べてね』
「ちょっと今食べる!お客さんいないから!」
それを横目で笑いながら、エプロンをつけて、バイトの準備をしてる。
カウンターに座って、待ちきれなくて、箱のまま食べた。
「いただきまーす!……んー!うま!これお金取れるよ!」
『うっそだ!言い過ぎ(笑)』
「いや、マジマジ。ね、得意なケーキ何?今度作って店に出そ。うん、ケーキセット」
俺が真面目な顔して言うから、Aちゃんは、少し訝しがる。
『え、本気で言ってる?』
「本気。ランチ終わった後から、ディナー始まる間の時間、パンもいいけど、ケーキも良いなって思ってたから。パンが売り切れることもあるしね」
『私、素人だよ?』
「うん。だからそこは俺が上手いって思ったのしか出さないし、あれもこれもは無理だから、いくつか作って、2種類くらい出せたら良いかな。どう?」
『えぇ……』
俺のやりかけた下拵えをやってくれながら、あんまり乗り気じゃなさそうな返事を返してくる。
「試しに。ね?何ケーキが得意?」
『何だろ……満遍なく気まぐれで作るから分かんない』
「じゃあコーヒーと紅茶似合いそうなの、作ってくれる?今から」
『今から?!』
「善は急げでしょ?はい、お願いしまーす」
ちょうど今日はあんまりお客さん来ない日みたいだからさ。
材料は大体揃ってると思うし。
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作者名:鈴 | 作成日時:2020年12月16日 14時