第5話 ページ6
それから3人はローゼにもなれ、街にも馴染み、しっかり地上を堪能した。
イザベルとファーランは本当の家族のように接してくれて、いつも一緒に遊んでくれて私は2人が大好きだった。
リヴァイは心を開くのに時間がかかったが、私の練習している紅茶の味見をしてから、紅茶が好きになったらしい。
今では1番頼っている兄的存在だ。
無愛想だが、優しいところもあり、大人びているようでおちゃめな1面もありとても可愛い人。
幼い私はずっと一緒にこの幸せな時間が流れていくのだと思った。
だが、ある日の朝、突如として3人は家を出ていった。
出る時に問い詰めても、悲しく笑うだけで何も答えてくれなかった。
イザベルは名残惜しそうに何度も、振り向き、ファーランはそれをなだめ、リヴァイは振り向きもせずずかずかと家を離れた。
両親に聞いても、なにも教えてくれず困ったような顔をするだけだった。
悲しかった。
1人だけ置いていかれたような気がして、1人だけなにも知らされていないような気がして、その時の私は12歳だった。
イザベルやファーランはともかく、見向きもせずに行ってしまったリヴァイに幼い私は怒りと悲しみを覚えた。
そんなに簡単に捨ててしまえた。
あんなに簡単に離れていった。
それはまだ幼いともいえる私には重すぎる感情だった。
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作者名:ホウ酸 | 作成日時:2018年9月22日 9時