身長低くても！！マフィアでも！！愛すべし！！！！〜番外編〜【中原中也】

お空を飛ぶ ページ9

「いいもんみせてやるよ」



そういって朝っぱらから連れてこられた

現在ポートマフィア本部ビルの屋上




時刻、早朝5：40




正直いって、眠い




「なに…くだらない理由だったら中也ちゃんでも許さないからな」

「無駄に辛辣だな」

「朝は低血圧なんだよ、察してくれ」




もう6月とは言え、早朝となれば話は別だ


屋上に吹き込む風は冷たく、容赦なく吹き荒れる






思っていた以上の寒さにブルリと身を縮こませると、それに気づいた中也ちゃんが羽織っていた外套をばさりと着せてくれた





「わぁお、男前」

「惚れたか？」

「何を今更」



そう返すと、中也ちゃんは照れたように笑った




かわいっ((




え？付き合っているのかって？？



付き合ってねェよ？？





え？？？？？？





すると中也ちゃんは屋上から見えるはるか遠くの水平線を見つめた

目を細めて、今か今かと待ちわびているようにも見えた





「よしっ…A、手前はな、この世界を分かっている気でいて何もわかっちゃいねぇ」

「え、なに急に」

「今から俺が手前にこの世界を見せてやる」


そういって中也ちゃんは後ろから私の両手を取り、




走り始めた



「え？ま？？？ちょっちょっちょっちょ！！！待て待て待て！？！？！」




楽しそうに笑いながら走り始める中也ちゃんとは裏腹に私はとっても混乱していた




「待て待て！？！？屋上！！！飛びおりっ！！！」


言い終わる前に、中也ちゃんは私の腰に手を回しふわりと浮く





「おい、A

目ぇ開けろや」


耳元で呟かれた優しい声に促されるまま、恐る恐る目を開ける





「わ…ぁ……」

「すげぇだろ」



そこに広がるのは水平線から顔をのぞかせた太陽が照らす

金色の町だった




「綺麗…」

「だろ？」


中也ちゃんの異能力、重力操作で浮いた体はまるで大空を羽ばたく鳥のように身軽であった



「手前は…この景色をしらねぇ

この世界で手前だけがこの景色をしらねぇんだ」


そうだ、私だけがこの世界の異端者であり、この世界にいてはいけない存在だった




「だがもう違う、そうだろ？」



この景色を知っちまったんだからな



中也ちゃんはそういってまるで自分のようにうれしそうに笑った




「綺麗だな…」




私のほうを向きながらそんなことを言うのは一体どういうことだろうか





「どこ見てるの」


そういって笑って見せると、中也ちゃんもつられて笑った




その顔は、本当に綺麗だったんだ

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