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三着目 ページ3

車一台ない道を走る。
運転席には中也が乗り、隣の席にはAが乗っている。

「付き合ってほしいってこの事ですか?」
「ん?ああ、まあな」

既に夕食を済ませ、時刻は日をまたごうとしている頃だった。

「明日、会食があるの覚えていますか?」
「こんな時まで仕事の話かよ…安心しな、忘れてねぇよ」
「洋服はお部屋にお持ち致します」
「おいA」

キィ、と車を止め中也はAを見た。

「窓見てみろ」
「窓……?」

自分の真後ろを振り返るとそこには暗い海が広がっていた。

「わあ……!」
「夜の海ってのも中々だな」

中也はシートベルトを外し外に出た。
それに続くようにAも同じ動作を行った。

「少し寒いか」

中也は自分のコートをAにかけた。
Aはハッと意識を戻らせたように中也を見た。

「中原様!」
「中也、だろ?」
「ッ……これじゃ中也が寒いでしょ…!」

ニヤリと笑った中也は帽子をAの頭に被せた。

「ふは、お前の方が寒そうだからだよ。それにお前が風邪ひいたら明日の服が無くなっちまう」
「だけど……!」
「いいんだよ、歳下のくせに変な気使ってんじゃねぇ。2人きりだろ」

昔からの約束だった。
中也とAの2人きりの時は幹部と秘書なんて堅苦しい関係を辞める。
敬語も様をつけて呼ぶことも遠慮することも全部なし。

対等な立場でいる。

中也が決めた事だった。
それを守らなければAは中也の傍にいることを許されなかった。





『A』
『はい?』
『2人きりの時は中也って呼べ!じゃなきゃ俺はお前と話さない!』



幼い頃の指切りを今も2人は大切にしていた。

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ハル - 面白かったです!とても感動しました!主人公が選んだ服や帽子を今も着ていると思うとグッとくるものがあります!大切なものを大切にしておこうと思いました!とてもよい話をありがとうございました!! (2017年1月27日 21時) (レス) id: d2f978314e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 加奈さん» ありがとうございます!!距離感は大切に書いていますのでそういう点に着目して頂けたのは嬉しいです! (2017年1月18日 7時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - もうなんか男主くんと中也の距離感が素敵過ぎて悶えますこの小説大好きです作者様ありがとうございます…… (2017年1月16日 21時) (レス) id: 191a0f55fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天さんさん» ありがとうございます! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - めっちゃ面白いです!!中也はやはりイケメンですね(吐血)更新頑張ってください! (2017年1月12日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年1月4日 0時

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