二着目 ページ2
シワ一つないシャツに腕を通していく。
するすると滑らかに通り、釦を締めればいつも同じように体が凛とするのがわかる。
「おはようございます」
「おう、Aシャツありがとう」
「お礼を言われるほどの事ではございません。朝食をお持ち致しました」
トレーの上にある皿を並べ、中也にナプキンを渡すとAはそのまま部屋を出た。
中也はそれを退屈そうに食べ始めながら今日の仕事の事を考えていた。
「……そういや…」
カレンダーを思い立ったように見ると5月6日。
その日はAの誕生日だった。
「………………」
欲しいものなど聞いたところで無駄だというのは12年間の付き合いでわかる。
サプライズをするにもプレゼントを買うにも時間がない。
参ったというように中也は頭をかいた。
「失礼します」
「……A」
「はい」
「今日の仕事は」
一瞬の戸惑いを見せた後Aは中也の仕事内容をペラペラと述べ始めた。
「ちげぇ、俺のじゃなくてお前のだ」
「……私のですか?今日は先日借りた洋服の返却と次の会議に向けての洋服の用意、コートのクリーニング、食事の用意…などですが」
Aの仕事内容は殆どが中也関係のものだ。
「食事の用意は昼食だけでいい。その代わり、夜に付き合ってもらいたい場所がある」
目を瞬きさせながらも頷いたAを見て中也は満足した。
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ハル - 面白かったです!とても感動しました!主人公が選んだ服や帽子を今も着ていると思うとグッとくるものがあります!大切なものを大切にしておこうと思いました!とてもよい話をありがとうございました!! (2017年1月27日 21時) (レス) id: d2f978314e (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - 加奈さん» ありがとうございます!!距離感は大切に書いていますのでそういう点に着目して頂けたのは嬉しいです! (2017年1月18日 7時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - もうなんか男主くんと中也の距離感が素敵過ぎて悶えますこの小説大好きです作者様ありがとうございます…… (2017年1月16日 21時) (レス) id: 191a0f55fe (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - 天さんさん» ありがとうございます! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - めっちゃ面白いです!!中也はやはりイケメンですね(吐血)更新頑張ってください! (2017年1月12日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2017年1月4日 0時