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「失礼します」

黒い扉が開かれた。
中原中也はラフな格好で扉のほうを見た。

「本日の衣装をお持ち致しました」
「おー…ってネクタイかよ……」

ハンガーにはスーツが掛けられている。
それを中也に渡すとAはクスリと笑った。

「パーティですから」
「わかってるっつーの」
「お食事はどうされますか?」
「軽いものを用意してくれ」
「かしこまりました」

自分と同じような髪色がパサリと下がる。

「A」
「はい」
「帰りの車を15分早く用意させてくれ」
「大丈夫ですが……15分ですか?」
「ああ、偶には一緒に食事しよう」

ふわり、と笑う中也に同じように笑い返すA。

南水(みなみ)Aは中原中也が10の頃から自分の側にいた。
自分より2つ下のくせに、自分よりもマナーや知識が豊富なのが気に食わなかったのが昔の話。

今ではパーティの衣装を用意してくれたり、生活面でも支えてくれたりと信頼している。

「いっつも思うけどよ」
「はい」

紅茶を淹れながらAは中也の方を見る。

「センスがいいな」

上着を羽織り中也はネクタイをしっかりと締めた。

「ありがとうございます」

中也の目の前に淹れた紅茶を出すとAは一礼し、部屋から出ていった。
中也はAの淹れた紅茶をそっと口付けた。

「……お見通しかよ」

口の中に広がる香りは中也が丁度恋しがっていたものだった。



そんな秘書と幹部のお話。

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ハル - 面白かったです!とても感動しました!主人公が選んだ服や帽子を今も着ていると思うとグッとくるものがあります!大切なものを大切にしておこうと思いました!とてもよい話をありがとうございました!! (2017年1月27日 21時) (レス) id: d2f978314e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 加奈さん» ありがとうございます!!距離感は大切に書いていますのでそういう点に着目して頂けたのは嬉しいです! (2017年1月18日 7時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - もうなんか男主くんと中也の距離感が素敵過ぎて悶えますこの小説大好きです作者様ありがとうございます…… (2017年1月16日 21時) (レス) id: 191a0f55fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天さんさん» ありがとうございます! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - めっちゃ面白いです!!中也はやはりイケメンですね(吐血)更新頑張ってください! (2017年1月12日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年1月4日 0時

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