貴方と傷を分かち合う

プロローグ ページ1

貴女.おにーちゃん！

なに？A

僕は勉強している手を一旦止め、裾を引っ張る妹に目をやる。

貴女.これ読んでー！
Aは僕の前に1冊の本を突き出した。

「今勉強中だから、終わったらね。」

貴女「嫌だー！今がいーい！」

頬を膨らませ、駄々をこねるA
こうなると末っ子なのもありわがままな年頃の妹

「分かった！分かったから！布団で待ってて」

貴女「ほんと？やったァ！母さんに言ったら仕事で忙しいからごめんねって言われたの！」

「A...母さん仕事で疲れてるんだから困らせるような事辞めてあげて。」
僕はしゃがみAに言い聞かせる
貴女「うん、ごめんねお兄ちゃん」

〜〜〜
貴女「スゥ...スゥ...」

「ふぅ...さてと勉強を再開するか」
本を読み終え妹は眠りについた。

この子は金木A。
僕の妹だ。

父が死んだ頃に母さんはAを身篭っていて、Aは父の顔を見たことがない。

母さんは仕事や家事で忙しくて、中々構って挙げられなくて、僕がAの面倒を見ている。

母に中々構ってもらえないからか、Aは僕によく甘えてくる。

でも僕はこの性格が災いして学校では友達もおらず、ずっと教室の隅で本を読んでいるような奴だ。

でもAとヒデがいてくれて、僕は
唯一居場所をもてた。

僕は妹を守る。
妹の満面の笑顔を守り続けたい





そう思った時だった。




母さんが死んだ。原因は過労だった。

Aは毎晩泣きじゃくっていて寝かしつけるのがやっとだった。

暫くして僕は叔母の元に、Aはおばあちゃんの元ぬをみに引き取られることとなった。

引き取られる当日


貴女「お兄ちゃん！」

「うわ！」

Aは僕の腰に抱きついてきた。

貴女「Aも一緒に行く！」

「ダメだよ。A、僕もお前も家族が決まってるから、一緒は無理だよ」
貴女「いや！私お兄ちゃんと一緒がいい！一緒に居たいの！」
Aは泣きじゃくり、手を離そうとしない
「A...

「ほーら、Aちゃん！お兄ちゃん行くからバイバイしましょ」
親戚の人が、Aを引き離し、今のうち に行くよう目で訴えた。

貴女「いやー！離して！お兄ちゃーん！」

僕は車に乗り妹が僕の名前を叫んでる顔を忘れる事は無かった。

これが妹との別れだった。



そして数年の月日が経ち、僕は大学生となり一人暮らしを始めた。


Aは今高校生か。
あれから僕達兄妹は離れ離れになった
A、もう1度お前に会いたい

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