ただ好きでいたいだけ【再会編】 (ページ8)

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店内に入ると、そこはバーで。

カウンターに座っていた1人のお客さんが「喧嘩？」とその人に聞くと

『この子にちょっかい出してたみたい』

ソファ席に座らせてもらうと

慣れた手つきで救急箱から

ガーゼや消毒液に絆創膏を取り出すと

『染みるわよ』

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「ありがとうございます…ほんと怖かった～…」

安心でようやく喋る事が出来た私に

よかったわ、と煙草に火を付けてふぅと足を組む。

漂う色気に思わず、まじまじ見てしまって

『オカマは苦手かしら？』

「全然‼ただ生で見るのは初めてで…綺麗だなって…」

『ふっはっはっはっ‼この子気に入ったわ、名前教えなさいよ』

「岡野です」

『下は？』

「Aです」

灰皿から灰を落とす指が一瞬だけ止まった気がした。

ゆっくり私のほうを見て「いくつ？」とまた話を振られる

「もう24になります」

『へぇ…若いのね…』

カウンターに座っていたお客さんも帰ったところで

私も帰るように伝えると

『待ちなさいよ､また変な奴に絡まれたらどーすんの』

「あ、それは…」

いいから！と再び座らせられ、

携帯を取り出して誰かに電話をしているようだ。

『アンタ～ちょっと来なさいよ～。あと私の煙草買ってきてくれない？…文句言わずにさ、説明はまた後で』

ぶちっと一方的に終わらせると、

『私のことはママとでも呼んで欲しいわ、よろしくねA』

「よろしくお願いします‼」

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