第53話 ページ7
安室side
なんなんだ、あの彼女じゃない彼女は。
なんなんだ、あの自分の命を軽く見る人間は。ここまでの人間は初めてだ。
……これが、彼女に最初に感じた違和感の正体なのか?
君はどこか、自分を全く違う個体として見ることがあるようだ。
だから命を簡単に投げだそうとする。自分の命だけど、自分のものじゃないように思っているから。
消えますから。そう笑ったときの彼女の顔は、本当にすっきりしていた。
あと1時間後、「消えてくれ」…この言葉を人生で一番言わなければ良かったと自分を責めた。
***
私はキュラソーが重機を操縦しこちらへ向かって来るのを見つけ、一目散に走り出す。
『っ待って!!!その役、私にやらせて』
「誰?あなた。」
『私…かぁ。私は、ブルームーン。よろしくね、キュラソー』
「ブルームーン…?!」
お酒の名前を口にすれば、途端に警戒心をあらわにするキュラソー。
『ジンに、そう呼ばれてるだけなんだけどね。
私はキュラソーを助けたいの。お願い、この役を変わって』
必死に懇願すれば、キュラソーはため息を付いて頷いた。
「……分かったわ。ブルームーン…覚えておくから。
それで、私は何をすればいいの?」
『っありがとう!
それで………この手紙を、バーボンに届けてほしいの…頼める?』
「えぇ。」
確かに彼女は4つの封筒を受け取れば、「神秘的な色ね」と微笑んだ。
『それが私よ』と微笑み返し、彼女が降りた重機に乗り込んだ。
慣れない操縦だけど、これなら行ける。
口元をゆるりと緩めた。
ーーーーーーーそうして私は、転がってくる観覧車に迷いなく突っ込んだ。
時間もなかった。
押し潰される感覚。
痛いのか、
分かんないけど
私は確かに生きてて
ここで、死んだ。
『愛してるよ、みんな』
ドカーン、と何かの破裂音がして、私の身を焦がす。
もう押し潰されたけど、まだやっぱり聴覚は残ってるみたい。
消化されてく音に、誰かの話し声。
何かを掛けられる音。
その全てが、幸せに思えた。
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ccndayo(プロフ) - はあ。。素敵すぎました。途中で涙が笑 (2021年1月6日 2時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
れいすみす(プロフ) - 幸せでした…尊いをありがとうございます…しゅき… (2020年5月26日 19時) (レス) id: 993cffbbce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 涙がボロボロと、止まらなかったです…凄く良い作品、ありがとうございました…( ;∀;) (2020年5月4日 10時) (レス) id: c930be9ed1 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年2月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)mこれからも素敵なお話を作ってください!ジン様好き〜〜〜! (2019年11月23日 0時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あると | 作成日時:2019年6月25日 2時