第84話 ページ39
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荷物を運ばれた日から一ヶ月、私は降谷零宅にて降谷零のヒモ生活をしていました。
いや、私が悪いわけじゃない。あいつが外に全く出してくれないんだ。
流石にあの日みたいに手錠掛けられて襲われはしなくなったけれど、私はなんだかポッカリと胸に穴が空いた気分。
なんていうか、大事なものを忘れてる気がする。
最初に気付いたのは何時だったかな。
自分の家にいた頃から、朝起きると何でかいつも人一人入れそうな位のスペースが空いていた。
そしてその後、私は煙草を吸わないのに時折ふわっとその匂いが鼻を掠めて、凄く胸が締め付けられる。
ずっと前に見つけた、私のスマホの電話帳に書かれた知らない名前の相手に電話をしようと何度も思ったけれど、いつもいつも何故か留まってしまう。
きっと、男性なんだと思う。
そんなこんなで私は今日まで何もしなかったんだけど。
『……何か、分かるかもしれない』
その煙草の匂いが、何回か出会ったあの銀髪の男の人からするの。
なんでだろう。
私と似ていた人を愛していたその人。
キーがそこにある気がして、私は降谷さんが居なくなっただだっ広い部屋で一人、恐る恐るその電話番号へ掛けた。
「記憶が戻ったのか」。
そう、すぐに電話に出た彼は焦ったように、どこか懇願するようにいった。
『……黒澤、陣』
久しぶりに口にした名前が、やっぱり彼のものだと分かる。
黒澤陣、黒澤陣と何度も名前を繰り返した時、頭に何かが流れてきた。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー一緒に料理する私と黒澤陣の光景。
ーーーーーー一緒にトロピカルランドへ行き、たくさん笑い合う私と黒澤陣の光景。
ーーーーーーいつでも私は笑顔で、彼はそんな私を口元を微かに緩めながら見ていた。
真っ黒な貴方に出会った日。
ジン、と言う名前。
お酒の、名前。
『っ場所…!今、どこにいるの?!』
貴方の事を、思い出せる気がする。
彼は驚きながらも、初めて出かけた場所だと言った。
ーーーーーーーーー私はただ小さなかばんにいつものものを詰めて、走り出した。
(黒澤陣に、会わなきゃ)
一番大切だった人に。
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ccndayo(プロフ) - はあ。。素敵すぎました。途中で涙が笑 (2021年1月6日 2時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
れいすみす(プロフ) - 幸せでした…尊いをありがとうございます…しゅき… (2020年5月26日 19時) (レス) id: 993cffbbce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 涙がボロボロと、止まらなかったです…凄く良い作品、ありがとうございました…( ;∀;) (2020年5月4日 10時) (レス) id: c930be9ed1 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年2月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)mこれからも素敵なお話を作ってください!ジン様好き〜〜〜! (2019年11月23日 0時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あると | 作成日時:2019年6月25日 2時