第７２話 ページ27
赤井秀一。それは、誰なんだろう。
沖矢さんに聞いたら分かる？
でも、なんだか気まずいし怖いな…と私の直感は語った。
赤井、赤井と心の中で呟きながらスーパーへ足を運ぶ。もう食糧がないと知ったのは今日の朝だった。お陰でお腹は腹ぺこあおむし(これ知ってる人は同世代です)
『オムライス…オムライス…』とオムライスの材料を一通り、他にも色々な野菜や肉・魚を買った。
これ位かなと思った時、私の目にあれが飛び込んできた。
カラメルソースが入っていない、牛乳のプリン。
『ジャージー牛乳プリン……』
ザザッｰｰｰｰｰザーッｰ…。
その単語を口に出すと、何かの記憶が映画のように頭に流れ出した。
……私によく似た人と、路地裏で出会った男の人がプリンを食べている映像…だった。
談笑する二人はなんだかとても幸せそうで。
女の人は頭のてっぺんからつま先まで、体型やホクロの位置まで全てが私と同じだった。
こんなに完成度の高いドッペルゲンガーはいるだろうか。
……もしかすると、これは、私…？
男の人は笑って話す女の人をとても優しい目で見ていた。
なん、だろう。
私、なのかな。本当に。
私は真相が分からないまま、目を閉じた。
サラサラサラ、とたくさんの花吹雪が舞って、次の場面に移り変わる。
これまた次は、私と…沖矢、さん？
二人して台所に立って…料理を、一緒に作っていた。
少しわたわたする私を微笑んで見つめる彼。たまに口を開けて笑って、私が今日見た彼よりもとても生き生きしていた。
これが、本調子の…沖矢さん。
『沖矢、昴…っぅ"あ゛っ！！』
頭が割れる位痛い。
ガツン、ガツンと頭をカナヅチのようなもので殴られる感覚。
痛い、痛い。
私は立つ気力を失い、ずるずると壁にもたれた。
＊＊＊
次に起きたのは、どこか分からない病室だった。
ただ真っ白な天井と、緑が見える窓ぎわ。
ズキズキと痛む頭を片手で抑えながら、私はナースコールを押した。
数分後、慌ててやってくる看護師さんに事情を聞いた。
どうやら私は、スーパーで気を失ってしまったらしい。
看護師さんと一緒に来た院長さんに頭を見てもらったところ、「一時的な記憶喪失」だと言われた。
私って何の記憶を忘れてるの？
大切なものだったのかな。
まぁ
今となっちゃ分からないかぁ。
．
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ccndayo(プロフ) - はあ。。素敵すぎました。途中で涙が笑 (2021年1月6日 2時) (
レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
れいすみす(プロフ) - 幸せでした…尊いをありがとうございます…しゅき… (2020年5月26日 19時) (レス) id: 993cffbbce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 涙がボロボロと、止まらなかったです…凄く良い作品、ありがとうございました…( ；∀；) (2020年5月4日 10時) (レス) id: c930be9ed1 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか？ (2020年2月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)mこれからも素敵なお話を作ってください！ジン様好き〜〜〜！ (2019年11月23日 0時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あると | 作成日時：2019年6月25日 2時
