第６６話 ページ21
お店に入れば、こちらへ営業スマイルを送った店員さんは一瞬で顔を変えた。
「いらっしゃいま……？！」
なんだろう、こういう顔。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰそうだ、この顔は。
幽霊でも見たような顔だ。
『あ、の……？』
カウンター席にいた男の子にも体に穴が開くほど見られ、このお店にしないほうが良かったかも、と思った時だった。
大勢のお客さんがいる中で、金髪青目の褐色肌の彼はｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
私を手加減なく、掻き抱いた。
その背は小刻みに震えていて、私を抱く腕のそれは、大切な人へするハグと同じだった。
「うそ、だ………こんな、こと、あるはず、」
あるはずない。
そう彼は涙を流しながら私を見つめた。
誰？
見覚えのない彼。
私は彼と影で共通点でもあったのだろうか。
……いや、多分人違いだろう。
『…多分、人違いです…。
私の名前は、赤藤、Aなので「人違いなんかじゃない！！！」…え、』
彼の大声でお客さんが一斉に私を見る。
訳も分からずイケメンに抱きしめられている私は、お客さんからの好奇と嫉妬などの視線を浴びながらどんどんＳＡＮ値が削られていっている。
怖くなった私は、彼を必死に拒もうとするが力の差は歴然。無駄な足掻きだった。
『………私は、あなたを知りません。…本当に、人違いだと思います…！
同じ顔は３人居るらしいですし、ってわっ！』
「ほら、君なんだよ…！！そんなこと言うのは、君だけだ！ねぇ、覚えてるんでしょう…？そんな、下手な嘘はつかないでください…」
知らない。本当に知らないのだ。
だけど、泣きながら縋りつく彼は、本当に私と面識があったのかもしれない。
『……取り敢えず、離れてくれませんか…？』
そう言うと、彼は秒速で「そしたら、あなたは消えるでしょう？僕たちの前から、こんな便箋だけを残して……」と手首をぎりっと掴んだ。
彼の目には一切の光が灯っていなくて、ゾクリと体が震えた。
便箋って何？私、そんなもの渡してない。
「10ヶ月前、言いたい放題言ったこの便箋だけを残して、Aさんはいなくなった。ボクたちの前から。絶対に離さない」
後ろからニコリと笑った少年らしさの無い言葉と笑顔がちぐはぐな男の子が出てくる。
閉じられた瞳の向こうにあったのは、この金髪店員さんと全く同じ瞳。
ゾワ、っと鳥肌が立つ。
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ccndayo(プロフ) - はあ。。素敵すぎました。途中で涙が笑 (2021年1月6日 2時) (
レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
れいすみす(プロフ) - 幸せでした…尊いをありがとうございます…しゅき… (2020年5月26日 19時) (レス) id: 993cffbbce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 涙がボロボロと、止まらなかったです…凄く良い作品、ありがとうございました…( ；∀；) (2020年5月4日 10時) (レス) id: c930be9ed1 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか？ (2020年2月12日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
RiR - とっても素敵なお話をありがとうございますm(_ _)mこれからも素敵なお話を作ってください！ジン様好き〜〜〜！ (2019年11月23日 0時) (レス) id: 6882897af8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あると | 作成日時：2019年6月25日 2時
